米ジョージア州にEV用電池向け韓国系部品メーカーの進出相次ぐ

(米国、韓国)

アトランタ発

2021年05月28日

電気自動車(EV)用の電池向けの韓国系部品・部材メーカーによる米国ジョージア州への投資が相次いでいる。いずれも、韓国のSKイノベーション(以下、SK)が建設中の車載用リチウムイオン電池工場向けのサプライヤーだ。

ジョージア州商務省は5月20日、電池モジュールと蓄電システムをSKに供給する韓国系自動車部品メーカーのトギャンが同州ジャクソン郡に新工場を設立すると発表した。同社にとって初の米国生産拠点で、投資額は1,000万ドル、雇用数は285人(見込み)。同州では、同じく韓国系企業のエンケムが6,135万ドルを投じてバッテリー電解液工場を新設すると発表した2020年1月以降、正極材を製造するエコプロBMや、空調(HVAC)用などのダクトを製造するドンウォンテックなど、SKに部品を提供する韓国系企業の拠点設立が続いている。

韓国系企業の進出について、ジョージア州のパット・ウィルソン商務長官は「ジョージア州は電動モビリティー分野のサプライチェーン全体を成長させることに注力しており、SKやトギャンなどの韓国企業との強い関係性がその助けになる」と述べ、相次ぐ投資を歓迎している。

韓国企業の米国進出を促すかたちになったSKも、同国で積極的な投資を展開している。2018年11月に16億7,000万ドルの投資と2,000人超の雇用を、2020年6月には9億4,000万ドルの追加投資と600人の追加雇用を発表したのに続き(2020年8月5日記事参照)、5月20日には、米フォード・モーターと車載電池を生産する合弁会社設立に関する覚書(MOU)を締結した。その発表の中で、SKのキム・ジュン最高経営責任者(CEO)兼社長は「米国の現政権の重要な目標である、米国での電気自動車のバリューチェーンを具体化する上で、フォードとの合弁は極めて重要な役割を果たす」と語った。

なお、SKとフォードの合弁工場の建設場所は明らかにされていないものの、ジョージア、オハイオ、テネシー、テキサスの各州が最終選考に残っていると報じられている(「アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション」紙電子版5月25日)。

(高橋卓也)

(米国、韓国)

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