新型コロナワクチン接種完了者への追加接種、各国で段階的に拡大

(世界、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、インド、中国、韓国、EU、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、ロシア、北米、中南米、米国、カナダ、ブラジル、メキシコ、チリ、ペルー、中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、アフリカ、南アフリカ共和国)

国際経済課

2021年09月07日

新型コロナウイルスのデルタ型変異株の感染拡大がワクチン接種率の相対的に高い一部の国・地域でも広がる中、高齢者や免疫不全患者などを対象に、ワクチンの追加接種(ブースター接種)を導入する動きが徐々に進んでいる。9月1~6日に現地で収集した情報を基に、世界主要国・地域におけるワクチン接種の進展や接種証明書の相互承認の状況などをまとめた(添付資料表参照)。

イスラエルでは7月以降、既に全人口の約6割が2回のワクチン接種を完了している状況下、感染が再拡大し、9月初めには1日当たりの感染者数が1万人を超えて推移するなど、感染拡大がピークに達している。同国政府は8月1日から60代以上を対象にした3回目接種を開始。29日には接種対象を12歳以上に拡大し、9月1日時点で人口の2割以上に当たる約200万人が3回目の接種を受けている。

米国では全人口の53%に当たる約1億7,600万人が接種を完了(9月4日時点)している。米国食品医薬品局(FDA)は8月12日、がん治療や臓器移植などにより免疫力が低下している人への追加接種を承認。9月4日までに133万人が追加接種(3回目)を受けた。さらに、連邦政府は一般の成人(18歳以上)にも追加接種を認める方針を発表しており、当局の承認を経て9月20日の週に開始となる見通しだ。

カナダ連邦政府は8月13日、連邦政府職員や州間列車利用者などに対し、ワクチン接種の義務化を発表。また、ケベック、オンタリオ、アルバータ、サスカチュワン各州ではそれぞれ、免疫不全や要介護などの条件を満たす対象者に追加のワクチン接種を実施している。

EUでは、9月3日時点で18歳以上の接種完了者が約7割(69.2%)に達した。一方、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は9月1日、「一般のワクチン接種完了者へのブースター接種を行う緊急の必要性はないものの、免疫不全患者や高齢者、介護施設入居者などに対する追加接種は検討すべき」との見解を発表した。EU加盟国のうち、フランスでは既に9月から65歳以上や新型コロナウイルス感染症の重症化リスクの高い基礎疾患を持ち、接種完了から6カ月間経過した人などを対象に、追加のワクチン接種を開始している。また、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセン)のワクチン接種完了者に対しては、接種から4週間後にmRNAワクチン(ファイザー・ビオンテック、もしくはモデルナ)の接種を推奨している。

ドイツでも、多くの州で9月1日から、介護施設入居者や免疫不全疾患症の患者など高リスク者向けにワクチンの追加接種の提供を開始した。

イタリアでも、9月末から免疫不全患者を対象に、3回目の追加接種を始める方針が同月2日に発表された。

東南アジアでは、シンガポールとインドネシアで、政府が3回目のワクチン接種の開始を発表。外国人を含む居住者のうち、シンガポールでは外国人を含む居住者のうち、免疫不全の人と60歳以上または介護施設に入居する高齢者を対象に、9月中にも接種を開始する予定だ。インドネシアでは医療従事者を対象に7月中旬から実施している。

また、各国政府が接種率の早期向上のため、在留外国人も対象に含めた集団接種計画を推進している。インドネシアはタイに続き、現地の日本大使館の調整の下、在留邦人専用のワクチン接種プログラムを開始する。北ジャカルタで9月中旬の接種開始を目指し、保健省によるアストラゼネカ製ワクチンの無料接種を実施する予定だ。

なお、その他主要国・地域の状況については添付の一覧表を参照のこと。

(伊藤博敏)

(世界、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、インド、中国、韓国、EU、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、ロシア、北米、中南米、米国、カナダ、ブラジル、メキシコ、チリ、ペルー、中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、アフリカ、南アフリカ共和国)

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