湾岸諸国を中心に、中東各国の新型コロナ新規感染者数は減少傾向

(中東)

中東アフリカ課

2021年09月22日

中東6カ国〔トルコ、イラン、イスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、カタール〕の累計感染者数の合計は、9月20日時点で1,500万人を突破した(オックスフォード大学「Our World in Data」より算出)。

この6カ国の1日当たり新規感染者数(合計値)の推移をみると(添付資料図1参照)、デルタ株などの影響で2021年7月以降に急増傾向となり(2021年7月21日記事参照)、8月にはピークを迎え、8月9日には10万人に迫る勢いとなった。しかし、各国の各種規制の再強化やワクチン接種の推進策などを受けて、9月に入るとやや落ち着きを取り戻し、減少傾向に転じた。8月末ごろには約6万~7万人となり、9月20日前後では約5万人まで下がっている。

上記6カ国の1日当たりの新規感染者数の推移を国別にみると(添付資料図2参照)、感染者数が減少傾向にある湾岸諸国(UAE、サウジアラビア、カタール)と、感染の抑え込みに苦しむ国(トルコ、イラン、イスラエル)との差が拡大している。

湾岸諸国のUAE、サウジアラビア、カタールでは、ワクチン接種の促進に加え、南アジアなど感染拡大国からの水際対策の強化や、PCR検査証明の提示義務など行動規制の強化などの影響もあり、現状のところ感染者は減少傾向にある。9月以降の1日当たり新規感染者数は、UAEは1,000人未満、カタールは100~200人台、サウジアラビアは100人未満まで減少している。

他方、人口大国のトルコやイランでは、特に8月中旬が感染の再拡大のピークとなり、前者は8月9日に4万6,400人、後者は8月17日に5万228人の新規感染者数を記録した。しかし、行動規制や営業規制(休業指示)の強化などにより減少に転じ、9月中旬にはそれぞれ2万人台程度で推移している。

イスラエルは他国に先駆けてワクチン接種を進めていたが、デルタ株の影響で8月以降に感染者が急増。9月8日には初の1日当たり2万人台となった。政府は8月1日からワクチンの3回目接種を開始し、29日には12歳以上に対象を拡大。9月17日には保健省が、3回目接種数が300万人(人口の約3分の1)を超えたと発表しており、引き続き対策に注力している。

(米倉大輔)

(中東)

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