新型コロナ抗原検査キットの生産開始

(コートジボワール)

アビジャン発

2021年09月03日

ドイツのダスラボーア(Das Labor)社は、コートジボワールの最大都市アビジャンの南東30キロにあるグランバッサム市の経済特区(Vitib、注)にアフリカで初となる新型コロナウイルス抗原検査キットの生産工場を設立した。8月13日に正式に製造の承認を受け、操業を開始した。操業開始後2日間で1万検査キットを生産しており、月内生産の見込みは10万キット。

抗原検査キットの生産工場設立は、ドイツ経済協力・開発省(BMZ)の資金調達プログラム「develoPPP.de」と、ドイツ国際協力公社(GIZ)の開発協力を通じて実現した。バイオメディカル分野の技術移転を目指す両国の協力事業の一環として、アビジャン市内ココディ地区に最先端の医療分析試験所を設立した。運営にはコートジボワールの生物学者らが参画する。

同社は既に国内の公的医療機関と製品供給に向けた合意を取り付けており、今後3カ月にわたり生産の50%を原価で供給するとしている。これにより、国内で迅速に新型コロナウイルスの抗原検査を実施できる態勢が整った。

同社の現地代表のデンベレ・バモリィ教授は、ドイツ政府の開発協力事業の枠組みで今後、新型コロナウイルス感染症のみならず、エボラ出血熱(2021年8月20日記事参照)の簡易検査キットの国内製造にも取り組んでいきたいと述べた。同社のトム・ヘルガシュ最高経営責任者は、医療品が不足するアフリカ諸国で現地生産により医療緊急事態時に国際市場に依存することなく、人命に関わる迅速な保健医療対応が可能となると評価した。

(注)バイオテクノロジー、情報通信技術(ICT)、金融、高付加価値サービスなどの業種を対象に法的・税制面の優遇措置を整備している経済特区。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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