コートジボワールでエボラ出血熱の感染例を確認

(コートジボワール、ギニア)

アビジャン発

2021年08月20日

コートジボワール保健省は8月14日、同国でのエボラ出血熱の発生を宣言した。

感染者はギニア国籍の18歳の女性で、同月11日にギニア内陸部のラベ州から陸路でコートジボワールに入り、12日に商業都市アビジャンにバスで到着した。その際、エボラ感染を疑う症状があったため、同日夜に市内の大学病院(CHU)に収容され、国立パストゥール研究所の検査を経て14日に陽性と診断された。現在、患者は隔離治療を受けるとともに、入院先の病院に勤務する200人の医療従事者が抗エボラウイルス・ワクチンの投与を受けた。また世界保健機関(WHO)は今回の発生に関して、感染者1人のほかに感染が疑われる別の患者1人と、9人の濃厚接触者の存在を明らかにしている。

エボラ出血熱は、2021年2月にギニアとコンゴ民主共和国で同時発生したが、ギニアにおける流行は6月には収束しており、専門家は、今回のコートジボワールのウイルスに遺伝子的な類似性は今のところ確認されていないとしている。

今回の発生を通じて、コートジボワール政府およびWHOの迅速な対応ぶりが明らかになったと同時に、幾つかの懸念も浮き彫りとなった。特に今回の事例では、感染者が閉鎖されているはずの国境を陸路で通過しており、かつ公共交通機関の長距離バスを利用して不特定多数の人と共に移動している。今後、同様の事例が生じた場合の対応として、感染が疑われる人を地域社会レベルで発見・通報し、また追跡・監視する体制構築や隣国との国境の協調管理の在り方など課題は多い、と専門家は指摘する。

なお8月9日には新たに、ギニア国内でエボラ出血熱とともに、ウイルス性出血熱(VHF)の1つに数えられるマールブルク病の発生が宣言されている。同感染症の規模と発生源は依然として明らかではないため、WHOはコートジボワールでのエボラ出血熱の事例も踏まえ、国境を越えた感染の拡大もあり得ると警戒している。

(水野大輔)

(コートジボワール、ギニア)

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