現代自動車、「2045年のカーボンニュートラル」構想を発表
(韓国)
ソウル発
2021年09月10日
韓国の現代自動車は、9月6日(現地時間)にドイツで開催された「IAAモビリティ2021」プレス発表会で、自動車の生産から運行、廃棄までライフサイクルの全段階にわたり炭素排出ゼロを達成するためのブループリント(構想)を発表した。「2045年カーボンニュートラル」と題するこの構想は、(1)クリーンモビリティ、(2)次世代移動プラットフォーム、(3)グリーンエネルギーを軸とした「気候変動統合ソリューション」が中核となっている。同社の「カーボンニュートラル白書」は専用ウェブサイトから参照が可能。
1.欧州市場で2035年までに電気自動車(EV)シフトを加速化(クリーンモビリティ)
世界市場で販売する完成車のうち「電動車」(EV、水素自動車など)の割合を2030年までに30%、2040年までに80%まで高める。地域別では、2035年までに欧州市場で販売する全てのモデルをEVと水素自動車のみとし、2040年までに他の主要市場でも順次全ての販売車両を電動車にシフトする。車種別では、「ジェネシス(Genesis)」を2030年までに全てEVまたは水素自動車に転換し、現在1車種のRV(レクリエーショナル・ビークル)の水素自動車を3車種に拡大する。また、2023年下半期に「ネッソ(NEXO)」のフェイスリフト(注1)および「スターリア(STARIA)」をベースとした水素自動車の新モデルを発表、2025年以降に大型SUV(スポーツ用多目的車)を発売する。
2.持続的な交通網の構築を通じた温室効果ガスの削減(次世代移動プラットフォーム)
ロボタクシー(注2)は、現代自動車のカーボンニュートラルを牽引する代表的なモビリティプラットフォームとして、米国自動車技術会(SAE)のレベル4(注3)の自動走行技術が適用され、今後、完全無人自動走行の達成を目指す(注4)。さらに、同社の次世代モビリティプラットフォームである都心航空モビリティ(Urban Air Mobility:UAM)を2028年までに開発し、2030年に隣接する都市を相互に接続する商品を供給することで、温室効果ガス削減の達成を目指す。
3.再生可能エネルギーとグリーン水素で全世界の事業所の炭素排出をゼロ化(気候変動統合ソリューション)
2040年までに同社における全世界の電力需要の90%、2045年までに100%を再生可能エネルギーで賄う。中長期的には、グリーン水素の導入を目指し、今後の事業所の主要なエネルギー源として代替を進めていく。また、EVを系統接続し、充電だけではなく電力を系統に供給する技術(Vehicle to Grid:V2G)およびEVのバッテリーの再使用エネルギー貯蔵技術(Second Life Battery Energy Storage System: SLBESS)にも積極的に投資する。
(注1)外装パーツなどの変更のみを行うモデルチェンジのこと。
(注2)今回のイベントで、「アイオニック5」のEVをモデルとしたロボタクシーを初めて一般公開した。
(注3)特定条件下における自動走行。
(注4)現代自動車は、ロボタクシーの普及は、効率的な運転が可能になり、温室効果ガスの削減に寄与すると説明している。
(当間正明)
(韓国)
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