新型コロナ対策の緊急事態宣言、21回目の延長、初の職域ワクチン種も開始

(ペルー)

リマ発

2021年09月21日

ペルー首相府(PCM)は9月16日、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の21回目の延長と、地域別感染警戒レベルを定めた大統領令第152-2021-PCM号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発令し、緊急事態宣言は10月31日までとなった。9月20日から10月3日までの地域別感染警戒レベル分けについては、中部内陸部のパスコ州のオクサパンパ県と同フニン州のサティポ県が4段階中3番目の警戒レベルの「上級警戒レベル」に指定された以外は、首都リマを含むその他の全ての地域が最も低い「中級警戒レベル」となり、全国的に警戒規制が緩和された(各種規制内容と地域分別は添付資料表参照)。

他国からの入国規制について、同大統領令では、引き続き南アフリカ共和国からの非居住者の入国を10月3日まで禁止しており、同国に14日以内に滞在歴のある居住者の入国についても、ペルー入国後14日間の自主隔離規定を設けている。また、運輸通信省(MTC)もこれに合わせて9月14日に省令第877-2021-MTC/01号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発令し、南アからの航空機の乗り入れ禁止措置を9月30日まで延長した。一方で、9月3日に発出した大統領令では、入国に当たってワクチン接種完了者は搭乗前陰性証明提示の対象外としていたが(2021年9月7日記事参照)、今回の大統領令では「ワクチン接種が完了しており、かつ搭乗前72時間以内のPCR検査陰性証明を要する」とした。これについて、ワクチン接種未完了者は入国できない可能性があるため、観光と航空業界の団体は連名で本規定の撤回を求めていたが、19日に保健省(MINSA)は、同措置について必須条件ではなく、引き続きPCR検査陰性証明を優先し、ワクチン接種完了証明の提示は義務化しない方針を同省コミュニケ第689号で追加説明を行った。

MINSAによると、新型コロナウイルスの全国の累計感染者数は16日時点で216万4,380人、1週間の移動平均は1,068人となっている。累計死者数は19万8,891人だが、直近1週間の移動平均は38人で、感染第2波は小康状態入っている。ただし、国立保健研究所(INS)が実施する感染例の変異型別調査では、ラムダ型変異株に代わってデルタ株とガンマ株が台頭しており、特に政府はデルタ株への警戒を維持する姿勢を見せている。

また、MINSAでは第3波に備えて9月中に対象者の50%のワクチン接種完了を目指しており、年齢別に進めている接種計画は13日時点では25歳以上が対象となっている。さらに7日から初のワクチンの職域接種キャンペーン「Vamos a tu encuentro ¡Vacúnate ya!(あなたの職場に行く、今すぐ接種しよう!)」を発表し、卸市場などを中心に未接種者のワクチン接種を促している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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