フェルナンデス大統領、11月の国会議員本選挙に向けて内閣改造

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年09月21日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は9月20日、国会議員予備選挙(PASO)での与党連合敗北を受けて、内閣改造を実施した。大統領は、PASOの結果が判明した直後は内閣改造を否定していたが、与党連合内の改造を強く求める声を抑えきれなかった。

内閣改造を求めて内務相と法務相、環境・持続可能開発相、科学技術相、文化相の5人の閣僚が大統領に辞表を提出していたが、科学技術相を除く4人が留任。結果的に、首相、外務・宗務相、治安相、農牧水産相、科学技術相、教育相の6人の閣僚が交代した。内閣一覧は添付資料表を参照。

与党連合内から辞任を求める声が上がっていたサンティアゴ・カフィエロ首相、マルティン・グスマン経済相、マティアス・クルファス工業生産・開発相のうち、経済相と工業生産・開発相は留任したが首相は交代し、新首相にはトゥクマン州知事のフアン・マンスール氏が任命された。ただ、大統領はサンティアゴ・カフィエロ前首相を外務・宗務相に任命し、閣内につなぎとめた。

クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル副大統領はPASO後に公開した書簡で、首相にマンスール氏を任命するよう提案していたことを明らかにしていた。マンスール首相は、副大統領が政権の座にあった2009年から2015年にかけて保健相を務めたが、副大統領との不仲がうわさされている。このような状況下での任命となり、今後、大統領と副大統領の間でどのようなかじ取りをするかが注目される。

11月14日の本選挙に向けて、与党連合は経済政策を見直す。9月20日付の現地紙「パヒナ12」によると、大統領は18日にラ・リオハ州を訪れ、集まった与党系の州知事と与党連合の結束を確認。本選挙での勝利に向け、「最貧困層の消費を促すショック(となる政策)が必要」との見解で合意したという。具体的には、最低賃金の引き上げや、クレジットカード決済時の金利補助、年金生活者への特別年金の支給、全世帯への現金給付などが検討されているとみられる。IMFとの債務再編交渉をめぐって歳出抑制を主導するグスマン経済相は、難しい立場に置かれている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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