第2四半期のGDP成長率、前年同期比19.6%、製造業が牽引

(メキシコ)

メキシコ発

2021年09月07日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は8月26日、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDPを発表した。新型コロナウイルス感染拡大により経済活動へ厳しい規制が課され、歴史的な落ち込みとなった2020年第2四半期と比較して19.6%増加した(添付資料表1参照)。前期比(季節調整済み)でも1.47%増となった(添付資料表2参照)。

2020年3月下旬に新型コロナウイルス感染対策として講じられた「全国健全な距離キャンペーン」と「不可抗力の衛生上の非常事態宣言」により、「不可欠な活動」を除く社会・経済活動が制限され、外出自粛が奨励された影響で、2020年第2四半期の実質GDPは前年同期比18.7%減となった。同年第3四半期(7~9月)以降もその後退を取り戻すことができず、2020年の成長率はマイナス8.3%という戦後最悪の落ち込みを記録した(2021年2月2日記事参照)。

2021年第2四半期の成長率を産業別にみると、農牧林・水産業は前年同期比6.7%、鉱工業は27.9%、サービス業は17.1%と、いずれもプラスだった。

鉱工業のうち、製造業は36.7%、輸送機器製造は2.4倍と大幅に増加し、新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで回復しつつある。また、製造業の寄与度は5.1ポイントで最大の押上要因となった。2020年全体を通じて需要減に苦しんだ建設業も、33.8%と伸長した。

サービス産業では、外出自粛の影響が深刻だったホテル・レストラン業が前年同期比2.6倍、映画館や遊園地などを含む文化・娯楽施設が2.7倍と著しい回復をみせた。前年同期には旅行者数の減少や生産活動の低迷の影響を強く受けた運輸・郵便・倉庫業も54.5%と大きく伸長した。これらサービス産業は、感染が再拡大した2021年第1四半期(1~3月)と比べて第2四半期は多くの州で状況が好転したことを受けて前期比でも成長。ホテル・レストラン業が15.87%、文化・娯楽施設が15.71%、運輸・郵便・倉庫業が8.19%と、いずれも大幅なプラスになった。

観光旅行者数にも回復がみられる。観光省によると、国内の主要ビーチリゾートの宿泊施設の占有率は2020年6月では2.9%にすぎなかったが、2021年6月は56.4%となり、2019年6月の水準(66.6%)には届かないものの、大幅に改善した。航空便でメキシコに入国した外国人旅行者数も2020年上半期には500万5,122人だったが、2021年上半期には716万8,669人と43.2%増加し、そのうち最も多い米国人旅行者数は2.04倍と大幅に増加している。

中銀の2021年成長率予測値は6.2%

中央銀行は8月31日に発表した四半期レポートで、2021年の実質GDP成長率予測値を6.0%から6.2%へ引き上げた。総裁のアレハンドロ・ディアス・デ・レオン氏は記者会見で「2021年第2四半期に経済は予想を上回る回復をみせた」と予測値引き上げの理由を説明した一方、「年内のインフレ率は5%を超える水準で推移するだろう。3%台に落ち着くのは2023年第1四半期になる」と、物価上昇が長期化するとの見方を示した(9月1日付現地紙「エル・フィナンシエロ」)。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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