8月の自動車生産・輸出・販売、好調維持も生産拡大に壁

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年09月14日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は9月3日、8月の自動車(トラック、バスを除く)の生産台数および輸出台数を発表した。生産台数は前月比20.1%増、前年同月比48.5%増の3万8,362台、輸出台数は前月比7.6%増、前年同月比83.3%増の2万4,937台だった(添付資料図1、図2参照)。輸出は、全体の6 割を占めるブラジル向けが引き続き好調で、ブラジル向けの伸びが輸出台数全体を大きく押し上げた(添付資料表1参照)。

1月から8月までの累計生産台数は前年同期比97.5%増の26万3,877台となり、2020年の年間生産台数25万7,187台を既に上回った。今後も月産3万台半ばで推移すると、2021年の年間生産台数は40万台に達する見込みだ。それでも、直近で最も生産台数が多かった2018年の46万6,649台には及ばない。9月3日付の現地紙「アンビト」(電子版)によると、国内の自動車需要や輸出は好調だが、生産台数を増やしたくても増やせない状況にある。まずは、自動車部品の不足だ。自動車部品メーカーの撤退や資本取引規制による部品の輸入難が生じているという。次に、製造ラインの工員の欠勤の増加だ。手厚い社会保障が労働者の勤労意欲を低下させ、欠勤につながっている。また、世界的な半導体不足も影響を及ぼし始めた。9月4日付の現地紙「クラリン」(電子版)によると、アルゼンチン国内では、トヨタ、フォルクスワーゲンは半導体不足の影響をまだ受けていないが、ステランティスは影響を受けているという。

8月の自動車の国内販売は、前月に引き続き落ち込んだ。アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によると、8月の自動車国内販売(新車登録)台数(トラック・バスを含む)は、前月比3.7%減、前年同月比1.7%増の3万182台だった(添付資料図3参照)。ブランド別・車種名別の販売台数は別添資料表2のとおり。

国内市場への供給台数の不足が続いているとみられており、9月10日付の「アンビト」(電子版)によると、1月から7月までの1カ月当たりの自動車の輸入台数1万5,000台前後に対し、8月は1万315台まで落ち込んだ。対外債務問題に起因する外貨不足により資本取引規制が強化され、9月以降も輸入台数が減少する可能性があるとしている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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