ビエンチャンで9月30日まで新型コロナ対策の強い外出禁止措置導入

(ラオス)

ビエンチャン発

2021年09月24日

ラオスの首都ビエンチャンで、9月中旬に発生した縫製工場での新型コロナウイルスの大規模クラスターとその後の市中感染拡大を受けて、9月20~30日の外出禁止措置が開始された〔9月19日付9月30日までの首都予防措置に関する都知事命令(No.016/VCG)〕。医療関係者などエッセンシャル部門を除いて、食料品や医薬品の買い出しや通院など以外での居住地からの外出が原則禁止された。都内の幹線道路などに多数の検問も設置され、一部の道路は完全封鎖されるなど通行車両取り締まりが強化された。都政府は市中感染拡大の封じ込めに向けて厳格な取り締まりを実施しており、過去3回で最も厳しい措置を運用している。

縫製工場など日系メーカーは操業の一時停止を余儀なくされた。安全性が確認されれば再開が可能なことから、各社は政府に対し操業再開許可の申請に動いている(9月22日時点)。今回の措置では、レストランの店内飲食の禁止について言及していないが、外出禁止の影響で店内営業を一時停止し、デリバリーとテークアウトに切り替えており、一部の日本レストランは期間中の休業を発表している。

また、都商工局は9月20日からのショッピングセンターや百貨店、スーパーマーケット、ミニマート、卸・小売店などの休業命令を発布した〔9月19日付9月30日までの日用品、消費品の売買サービスとCovid19感染予防措置の実施に関する都商工局ガイドライン(No.1323/IC.VC.DT)〕。生鮮市場を除く全ての店舗が9月30日まで閉店するとして、多くの市民がスーパーへ買い出しに集まるなど現地社会で混乱が生じた。これに対し、翌21日、ナイトマーケットやショッピングセンターを除き、営業時間や入場者数を制限することによる営業再開が発表された〔9月21日付9月30日までのCovid19予防措置と日用品、消費品の売買サービスに関する都商工局ガイドライン(No.1345/IC.VC.DT)〕。

写真 検問の様子(9月21日、ジェトロ撮影)

検問の様子(9月21日、ジェトロ撮影)

首都ビエンチャンのロックダウン措置(No.016/VCG)の主な内容は以下のとおり。

  1. 政府(公務員)、企業、国際機関の従業員・職員の出勤停止(軍、警察、消防、医療関係者などを除く)、在宅勤務の奨励
  2. 都内居住者の外出や往来の禁止(食品や医療品の買い出しや通院、ワクチンを接種したエッセンシャル部門の従事者を除く、※)、軍・警察による検問設置・警備強化(※:日用品・必需品の販売・配送、銀行、金融機関、病院、民間クリニック、薬局、レスキュー隊、郵便、通信、電気、水道、ガソリンスタンド、ゴミ収集サービスなど)。
  3. 都内から他県への移動、都内の市中感染ゾーン/リスクゾーンへの移動の禁止(政府の許可を得た商品輸送従事者、プロジェクト従事者は除く)
  4. 市中感染のある県からの入境禁止(都内居住者の再入境は除くが、いずれの場合も14日間の隔離)
  5. 陽性者や濃厚接触者による行動履歴の隠蔽(いんぺい)、改ざん、治療・隔離施設からの逃亡の禁止。
  6. 会議、集会、イベント、宗教儀式、慣習的祭事、結婚式、パーティー、祝宴の禁止(葬儀は別途定める通達内容を順守)
  7. カラオケ店、娯楽施設、カジノ、インターネットカフェ、ゲーム店、映画館、ビリヤード、マッサージ店・スパ、理容院、美容院、ショッピングモール、ナイトマーケット、ガーデンレストラン、観光地、ゲストハウス、リゾート施設、バー、屋台・露店の営業禁止
  8. 屋内外スポーツの禁止
  9. 縫製工場、大規模工場の操業一時停止(リスク評価により感染リスクがないことが保証されれば操業再開許可)
  10. 違反者への処罰〔個人:1回300万キープ(約3万3,000円、1キープ=約0.011円)、法人:1回1,000万キープ〕

(山田健一郎)

(ラオス)

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