再生可能エネルギー発電事業者の経済性確保に課題、大韓商工会議所調査

(韓国)

ソウル発

2021年09月07日

韓国の大韓商工会議所は8月24日、韓国で発電事業を手掛ける企業を対象に、「再生可能エネルギー産業の事業運営状況と隘路の実態」に関する調査を行った(回答企業数112社)。「今年の事業実績は年初の目標を達成できない」と回答した企業が46.4%に達し、「目標を超える」とした企業は5.4%、「目標に達した」は48.2%だった(注1)。

「目標を達成できない」と回答した理由について、「再生可能エネルギーの市場価格の下落」が55.3%、「事業の許認可および敷地確保の遅れ」が17.0%、「設備の老朽化」が14.9%を占めた。

また、政府が掲げる「再生可能エネルギー3020」(注2)については、「達成は容易ではない」と「達成は不可能」と回答した企業が64.3%、「達成可能」は35.7%だった。達成が容易ではない理由については、「社会的合意の形成が困難」(45.2%)、「野心的な目標水準」(35.6%)となった。

大韓商工会議所は、再生可能エネルギーの経済性確保の問題は、早い段階で導入に取り組んだ主要国の場合、再生可能エネルギーの発電費用が低下し、従来の石炭火力発電より安価になるが、韓国の場合、再生可能エネルギー発電費用は依然として高価と指摘している(注3)。今回の調査では、グリッドパリティ(注4)の時期については、「3年以内」と回答した企業は11.6%、「3年以上」が88.4%で、近い将来では達成が難しいとの回答が大多数を占めた。

発電事業者が求める政策課題については、「収益性の確保」が42.9%、「用地確保への支援」が18.8%、「設備投資への金融・税制支援」が14.3%と、経済性の確保に関する解決を期待する声が多かった。

チョン・インシク大韓商工会議所産業政策チーム長は調査結果について、「再生可能エネルギーの拡大は国際社会が求める温室効果ガスの削減だけではなく、韓国の高いエネルギー輸入依存度の減少につながる方策」としつつ、「安定した再生可能エネルギーの供給拡大に向け、政府は経済性確保への支援、利害関係者を調整する役割に積極的に取り組む必要がある」と総括した。

(注1)目標は回答企業それぞれの目標。

(注2)総発電電力量に占める再生可能エネルギーの発電比率を2030年に20%高める政策。

(注3)2020年上半期の国内の太陽光発電費用は106ドル/メガワット時で、米国(44ドル)、中国(38ドル)、ドイツ(58ドル)に比べ2~3倍の費用がかかると指摘している。

(注4)再生可能エネルギーの発電コストが既設の系統電源コストと同等もしくはそれ以下となる点。

(当間正明)

(韓国)

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