中国外交部報道官、台湾のCPTPP加入に反対を表明

(中国)

北京発

2021年09月27日

台湾による、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加入申請について、中国外交部の趙立堅報道官は9月23日、「世界には1つの中国しか存在せず、台湾は中国の不可分の一部で、『一つの中国』原則は国際関係において公認されているルールであり、国際社会における普遍的な共通認識だ。中国はいかなる国が台湾と公式の往来をすることにも断固反対し、台湾がいかなる公的な性格を持つ協定や組織に加入することにも断固反対する。中国のこの点に関する立場は明確だ」と述べた。

また、国務院台湾事務弁公室(国台弁)の朱鳳蓮報道官は同じく23日、「台湾が地域の経済協力に参加するためには、必ず『一つの中国』原則を前提としなければならない。われわれは、民進党当局が経済・貿易を口実として、いわゆる『国際空間』を広げ、『台湾独立』活動の企てを行うことに反対する」とした(注)。その上で、「中国がCPTPPに加入することは、アジア太平洋地域の経済一体化プロセスの推進にとってプラスで、アフターコロナの世界経済の回復や貿易の発展および投資の増加にとってもプラスとなる」との見方を示した。

9月24日時点での主要な中国メディアの報道ぶりをみると、台湾当局者のコメントや日本などの外国メディア報道の引用が多くなっている。

中国の識者のコメントの中では、中国社会科学院台湾研究所の鄭育礼助理研究員が「台湾のCPTPP加入は単なる経済問題ではない。大陸が何度も強調しているように、台湾が地域の経済協力に参加するには必ず『一つの中国』原則を前提としなければならない。最も重要な問題は、台湾当局(原文では蔡英文当局)が『92年コンセンサス』を承認していないことだ。この核心的問題により、台湾の申請成功が不可能になっていることは、蔡英文当局にとっても当然分かり切ったことだ」との見方を示している。

(注)アモイ大学台湾研究院の張文生副院長は、香港メディア大公報に対して、「CPTPPは公的な性格を持つ国際組織で、台湾当局がもし加入を希望するのであれば、まず『一つの中国』原則を満たし、必ず中国政府の同意を得なければならない。よって、大陸がCPTPPに加入する前に台湾当局が加入する資格はなく、大陸がCPTPPに加入した後であっても、台湾当局の加入の可否については必ず中国の審査を受けなければならない」との見方を示している(「マカオ商報」9月24日)。

(小宮昇平)

(中国)

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