カスティージョ大統領、新首相と内閣人事を発表

(ペルー)

リマ発

2021年08月04日

ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は7月29日、新たな首相としてクスコ州より選出されたペルー・リブレ(自由ペルー:PL)党のギド・ベジード・ウガルテ議員を任命した。ベジード首相は、ブラディミール・セロンPL党首に近い人物とされている。また、2021年4月のクスコ州の地方放送局インカ・ビジョン(INKA VISION)の取材で、テロ組織「センデーロ・ルミノソ(輝く道)」の初期メンバーである故エディス・ラゴス氏を擁護する発言を行い、テロ対策検察局からテロ共鳴者としての嫌疑がかけられている人物でもある。そのため、ベジード氏の首相就任に反対したペドロ・フランケ・バルベ経済財政相とアニバル・トーレス・バスケス法務人権相の2閣僚が宣誓式を途中退席するなど、波乱の幕開けとなった。その後、両氏はカスティージョ大統領の説得を受け、最終的に他の閣僚と1日遅れの7月30日にあらためて宣誓を行い、閣僚に就任した。一方で、野党ならびに経済界からは、フランケ氏とトーレス氏の就任は市場に安心感と安定をもたらすと期待されている。

その他の主な閣僚としては、外相に、元ペルー共産党員で国家解放軍にも所属した急進左派のエクトル・ベハール・リベラ氏が就任した。新型コロナウイルス感染対策を担う保健相には、医師で前の議会で主力左派だったフレンテ・アンプリオ(解放戦線:FA)党の議員も務めたエルナンド・セバージョス・フローレス氏が就任。通商観光相には左派フントス・ポル・エル・ペルー(ペルーとともに:JPP)党首のロベルト・ヘルベル・サンチェス・パロミーノ氏、生産相に前議会でFA党スポークスパーソンを務めたイバン・キスペ・アパサ氏、エネルギー鉱山相に中小企業のビジネスパーソンで社会争議交渉コンサルタントでもあるイバン・ゴドフレード・メリーノ・アギーレ氏がそれぞれ任命された(その他閣僚人事は添付資料参照)。

ベジード首相の任命で、カスティージョ政権におけるセロンPL党首の影響力を懸念する声も少なくない上、今後、同首相の下で組閣された新内閣人事の信任決議案が議会で承認されるに当たって、今回の首相人事が大きな妨げとなる可能性を指摘する見方もある。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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