上半期の輸出額、2013年上半期以降で最も高い水準に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年08月25日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は7月21日、2021年上半期の輸出額が前年同期比28.3%増の353億3,900万ドル、輸入は48.6%増の285億9,900万ドル、貿易収支は67億4,000万ドルの黒字と発表した(添付資料表1参照)。

輸出額は上半期としては2013年以来で最も高い水準を記録した。しかし、数量ベースでみると、前年同期比4.7%増にとどまる。国際商品価格の上昇が輸出額の増加の背景にあるとみられる。

品目別輸出額をみると、農畜産物加工品と工業製品が前年同期比でそれぞれ47.2%増、44.2%増となった。農畜産物加工品では特に食品産業残留物(大豆油かす、大豆ペレットなど)が60.0%増、食物油脂が90.3%増を記録した。肉類およびその加工品は2.7%減少した。一次産品は1.5%増加したものの、大豆などの油糧種子は25.5%減少した。品目別輸入額では、全ての品目で前年同期比プラスとなった。

上半期の仕向け地別輸出額をみると、最大の輸出相手国であるブラジル向けは前年同期比40.1%増で、主に自動車、化学品、プラスチック、ワイン、粉ミルク、電力、小麦、大麦などが輸出された。ブラジルに次ぐ相手国の中国向けは4.4%減少し、主に大豆、大豆油、冷凍骨付き牛肉、エビなどが輸出された。

原産地別輸入では、ブラジルが56.5%増、中国が64.1%増加した(添付資料表2参照)。両国との貿易収支は赤字が続いている(対ブラジル8億3,000万ドル、対中国は31億1,000万ドルの貿易赤字)。

8月18日付の現地農業専門サイト「アグロシティオ」によると、外貨獲得が現在の最大課題であるアルゼンチンにとって、コモディティーの国際価格の上昇は輸出額に大きく貢献した。しかし、上半期の輸出数量をみると、特に一次産品および燃料・エネルギーが前年同期比で減少したことに懸念の声が上がっている。「穀物の収穫時期が過ぎ去った今、農畜産物加工品の輸出拡大に頼るしかない」と分析している。

なお、アルゼンチンの月別輸出入額の推移は添付資料図を参照。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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