日本の上半期の対中輸出、前年同期比27.0%増、製造用機器や自動車が牽引

(中国、日本)

中国北アジア課

2021年08月05日

ジェトロが貿易データベースのグローバル・トレード・アトラスを基に、日中貿易を双方輸入ベースで分析したところ、2021年上半期の日本の対中輸出は、前年同期比27.0%増(添付資料表1参照)、対中輸入は15.0%増(添付資料表2参照)と、ともに2桁増となり、日本の対中貿易収支は109億8,100万ドルの黒字となった(注)。

上半期の日本の対中輸出は前年同期比27.0%増の1,012億3,700万ドルとなった(添付資料表1参照)。新型コロナウイルス禍の中での各国の経済再開を受けた需要回復に加え、一部では前年同期に落ち込んだ反動増もあったとみられる。ちなみに、直近の6月単月では、前年同月比21.4%増の185億1,500万ドルだった。

上半期の輸出品目の上位20品目(HSコード6桁ベース)をみると、輸出額トップの記憶素子(前年同期比4.5%増)のほか、プロセッサーおよびコントローラー(59.4%増)などが上位に並び、HSコード4桁ベースでみると、集積回路(HSコード8542)だけで輸出額全体の10.3%を占めた。

輸出の最大の押し上げ要因となったのは、半導体製造用機器(75.2%増)だった(寄与度1.9ポイント)。機械類では、フラットパネルディスプレー製造用機器(47.6%増)、マシニングセンター(2.26倍)も大幅増となり、輸出を牽引した。中国内外の需要の回復により、日本から中国への製造用機器や工作機械の輸出が好調なことがうかがえる。

また、新エネルギー車をはじめ中国向けの自動車輸出も拡大し、ハイブリッド車(HSコード870340)が70.9%増の大幅増、排気量1500cc超、3000cc以下の乗用車が39.8%増となった。自動車部品の中でも、ギヤボックスおよびその部分品が34.2%増と急増した。一方、排気量3000cc超の乗用車(表外、HSコード870324)の輸出は95.6%の大幅減となった。

その他の品目では、銅のくずが単価の上昇も伴い、金額ベースで前年同期の3.6倍、数量ベースでも2.2倍と急増した。銅は電気自動車(EV)やEVの充電設備の生産などに使用するため、世界的に需要が増加していることが単価上昇の一因とみられる。また、対中輸出の増加が近年続く化粧品(HSコード330499)も24.1%増と順調に推移した。

対中輸入ではデジタル製品増加

上半期の日本の対中輸入は、前年同期比15.0%増の902億5,600万ドルとなった。6月単月では前年同月比14.9%増の148億5,800万ドルだった。

上半期の輸入品目の上位20品目(HSコード6桁ベース)をみると、最大の輸入品目のスマートフォンなど電話機が前年同期比53.3%増となり、輸入全体を3.7ポイント押し上げた。また、ノートパソコンなど携帯用の自動データ処理機械は10.1%増、モニターおよびプロジェクターは28.3%増、ビデオゲーム用機器(HSコード950450)は76.1%増となるなど、長期化するテレワークや巣ごもり需要の拡大が各種デジタル製品の輸入増につながったとみられる。

他方、寄与度がマイナスとなった品目をみると、価格下落を受け、光電性半導体デバイスおよび発光ダイオード(LED)が15.8%減となったが、数量ベースでは0.8%増と前年並みだった。このほか、マスクなど紡織用繊維品が69.8%減、消毒剤(表外、HSコード380894)が84.4%減となり、前年同期と比べ、日本国内の需給が安定したことが背景にあるとみられる。

(注)貿易統計は、輸出を仕向け地主義、輸入を原産地主義で計上しており、一定量存在する香港経由の対中輸出(仕向け地を香港としている財)が日本の統計では対中輸出に計上されない。このため、日中間の貿易はいずれかの国の貿易統計より、日中双方の輸入統計を見た方が実態に近いと考えられる。このため、日本の対中輸出は、中国の通関統計による対日輸入を、対中輸入は日本の財務省統計による対中輸入を使用している。

(森詩織)

(中国、日本)

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