第2四半期実質GDP成長率、前年同期比7.43%、2021年通年5.88%予測

(台湾)

中国北アジア課

2021年08月25日

台湾行政院主計総処は8月13日、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を前年同期比7.43%、2021年上半期を8.34%と発表した。2021年通年は5.88%と予測した(添付資料図1、図2参照)。

第2四半期の実質GDP成長率を需要項目別寄与度でみると、内需の寄与度は2.28ポイントと、前期の4.00ポイントから減少した(添付資料表参照)。5月中旬から新型コロナウイルス感染拡大により、警戒レベルが第3級へ引き上げられ、外出自粛やリモートワーク、オンライン授業の実施、全面的な店内飲食禁止や営業時間の短縮、レジャー娯楽や文化教育施設の閉鎖などが行われたことが影響し、民間消費の寄与度はマイナス0.20ポイントと前期の1.12ポイントからマイナスの寄与となった。商品消費については、実店舗における消費が急減したが、オンラインショッピングの急増により相殺された。

外需の寄与度は5.14ポイントで、このうち輸出が12.99ポイント、輸入は7.85ポイントとなった。輸出については、欧米諸国による防疫措置の緩和に伴う消費増、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化による遠隔サービス商機や巣ごもり消費の拡大、第5世代移動通信システム(5G)など新興技術を応用した商品への需要が引き続き増加し、主要品目である電子部品や情報通信機器などを中心に好調を維持した。輸入は、輸出増に伴う需要増と域内投資の堅調な推移、国際原材料価格の持続的な上昇などが全体を押し上げた。

主計総処は2021年下半期(7~12月)の成長率を3.67%と予測。2021年通年については6月発表の5.46%から5.88%へ上方修正した。貿易は、世界経済の回復や原材料価格の上昇に加え、5Gなど新興技術応用商品の需要拡大や半導体産業による域内投資、台湾回帰投資の持続的な拡大などもあり、新型コロナウイルス感染拡大の生産活動への影響は限定的とみている。また、下半期も半導体関連製品の輸出が持続的に成長するとして、2021年通年の輸出の伸びは17.93%、輸入は17.82%と予測した。

民間消費は通年を1.36%と予測した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、当局による各種経済振興支援策の実施、ワクチン接種の拡大と防疫措置の緩和により、下半期は抑制された消費力の回復が徐々に見込まれるとの見解を示した。民間投資については、域内半導体メーカーの継続的な設備投資や台湾企業の回帰投資、洋上風力発電や太陽光発電などグリーンエネルギー施設の増設、通信事業者による5Gインフラ構築の加速などにより、通年を11.89%と見通した。

(北野真瑞)

(台湾)

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