第2四半期のGDP成長率は7.5%とプラスに、2021年見通しは下方修正
(タイ)
バンコク発
2021年08月18日
タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は8月16日、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を公表した。GDP成長率は前年同期比7.5%となり、前期(マイナス2.6%)から改善しプラス成長となった。四半期の成長率がプラスになるのは6四半期ぶり。
需要項目別でみると、個人消費支出は4.6%増と前期(マイナス0.3%)からプラスに転じた。新型コロナウイルスの影響から、依然として家計の消費支出は慎重であるものの、政府の消費刺激策などにより食料品などの非耐久消費財への支出やネットサービス関連の支出が増加した。また、自動車などの耐久消費財の支出も増加した。政府消費支出は1.1%増と前期(2.1%増)に引き続き堅調。現物社会移転の増加などがプラスに寄与した。
総固定資本形成は8.1%増となり、前期(7.3%増)から拡大した。民間投資が9.2%増と前期(3.0%増)より加速。特に機械設備投資が12.2%増と、前期(3.8%増)から大きく伸びた。産業機械設備や車両設備の投資が寄与した。また、政府投資も5.6%増と前期(19.6%増)から引き続きプラスとなった。公共工事が9.0%増と前期(23.1%増)同様プラスになったものの、政府による新規プロジェクトが乏しく、水道菅の整備事業など現在進行中のプロジェクト中心の投資だったため、伸び悩んだ。
物品輸出額は30.7%増と前期(3.2%増)から大きく拡大。車両および部品の輸出が2倍に増加した。主に、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN、米国からの需要増加に伴い、乗用車、ピックアップトラック、および車両部品の輸出額が増加した。
2021年の実質GDP成長率の予測を下方修正
また、NESDCは、2021年の実質GDP成長率見通しについて0.7~1.2%とし、2021年5月時の予測(1.5~2.5%)から下方修正した。新型コロナウイルス感染拡大による不確実性、高い失業率、家計および企業の脆弱(ぜいじゃく)な財政状態、物流チェーンの制限、世界経済や金融情勢の変動などを今後のリスク要因として挙げた。
(岡本泰)
(タイ)
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