カスティージョ大統領が誕生、就任演説で憲法改正を求める

(ペルー)

リマ発

2021年08月03日

ペルー独立記念日の7月28日に、ペドロ・カスティージョ氏は議会において新大統領としての宣誓を行い、第51代大統領に就任した。就任式には、スペイン国王のフェリペ6世のほか、ボリビアのルイス・アルセ大統領とエボ・モラレス元大統領、エクアドルのギジェルモ・ラッソ大統領、チリのセバスティアン・ピニェラ大統領、コロンビアのイバン・ドゥケ大統領、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領ら諸外国の要人も参列した。

就任演説でカスティージョ大統領は、自身のルーツであるケチュア族などのペルー先住民に加えて、アフリカ系住民のほか、華僑系ならびに日系移民に対して敬意を表した。その上で、スペインの植民地時代から続く先住民に対する差別的な(第2カテゴリー国民と表現)扱いを強く非難した。

政策面では、新型コロナウイルス対策に継続して優先的に取り組み、2021年内にワクチン接種率を70%に引き上げることを目標とすると述べた。さらに、医療の享受を国民の権利として、5,000ほどの包括的地域支援チームを編成し、自身の任期中に各地域の医療インフラの充実を図り、全ての国民が医療サービスを受けられるようにすることを約束した。

一方、経済面では、選挙公約でもある「100万人の雇用創出」を目指すために各地の公共事業の促進を通じて臨時雇用を創出するほか、パンデミックによって最も打撃を受けたとする農業、中小企業、観光業、運送業に優先的に政府貸付金返済の期限延長や新たな融資制度を適用することを明らかにした。

教育関連では、過疎地や貧困地域を中心に基礎教育と高等教育の充実を図るために教育関連予算を倍増することや、2022年上半期を目標に対面授業を再開させるために教職員へのワクチン接種を促進することなどを発表した。

科学技術イノベーション分野については、カスティージョ大統領は同分野における自国の遅れを指摘し、そのため新たに科学技術イノベーション省の設立と研究者の育成に取り組むことに言及した。

国の天然資源については、国営石油会社のペトロペルー(PETROPERU)に石油や天然ガスの探鉱、開発、流通および販売におけるさらなる権利を与え、民間企業が不当な利益を上げることを防ぐと約束した(注)。また、その他の鉱物資源も含めて全ての天然資源における国の主権の回復を主張し、外国企業による投資契約内容の多くは現行憲法によって保護されているため、それらの見直しをするための憲法改正を訴え、国民による制憲議会の招集を求めた(その他演説内容については添付資料参照)。

(注)ペトロペルー(PETROPERU)は、上流から下流に至るまでの実際の事業の実施会社としてペルー国内の多くの製油所、パイプライン、一部の鉱区を保有。一方で、同部門の管理監督を所管し、外国企業を含む民間企業との契約交渉および締結に当たるのはもう1つの国営企業であるペルーペトロ(PeruPetro)となっている。今回は両社を含めての発言とみられる。

(設楽隆裕)

(ペルー)

ビジネス短信 df90813dea490655