国産重視・環境配慮・持続可能な国家目指す「グリーン生産開発計画」発表

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年08月20日

アルゼンチン政府は7月13日、世界的な課題である気候変動への取り組みを約束し、持続可能な国家を目指すための「グリーン生産開発計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。全国の3,500社以上に100億ペソ(約113億円、1ペソ=約1.13円)超の資金と技術支援を提供し、環境に配慮した持続可能な国家の実現を目指す。

同計画では、環境に配慮した持続可能な国家を実現するため、4つの目標と10の取り組みを掲げた。4つの目標は以下のとおり。

  • 環境に優しく持続可能な経済(グリーン経済)を実現するためのサプライヤー育成
  • 廃棄物を出すことなく資源を循環させる経済(循環型経済)への移行
  • 省エネルギーとエネルギーの効率化を通じた持続可能な生産による競争力向上
  • 環境に配慮した資源開発

10の取り組みは、6つの短期的取り組み、4つの中期的取り組みで構成。太陽熱温水器、リサイクル産業用機器、省エネ機器、再エネ機器、電動自転車などの国内生産を推し進めるとともに、グリーン水素バリューチェーンの構築、リサイクルと廃プラスチックの削減を進めるとしている(添付資料表参照)。政府は、アルゼンチンが自動車生産で長年の歴史を有することに加えて、リチウムと銅資源が豊富なことから、国内での電気自動車(EV)の生産促進も目指している。

政府は、環境に配慮した持続可能な国家の実現には「持続可能な社会と持続可能な経済の実現が必要不可欠」としており、前政権の施策には「これらが欠如していた」と批判している。前政権が導入した再エネ発電の推進計画「Plan RenovAR」を例に挙げ、再エネ発電の普及を輸入機器に頼った結果、「国内で雇用が創出されず、2018年の為替危機により計画は停止に追い込まれた」と批判した。

政府が考える持続的な経済とは、機器を国内で生産し、さらにそれを輸出することで外貨を節約すること。また、持続可能な社会とは、国内で雇用を創出し社会的包摂を実現することだ。これらを実現する方法として、自国企業を核とした再エネ産業クラスターの構築、国内で産出するリチウムと銅を活用したEV国産化、水素サプライチェーンの開発による脱炭素化と水素の輸出を例示している。

前政権とは異なり、国内生産型の環境に配慮した持続可能な国家を目指す。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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