沿海地方の鉱工業生産、上半期は前年同期比11.1%増

(ロシア)

モスクワ発

2021年08月12日

ロシア沿海地方の2021年上半期(1~6月)の鉱工業生産は、連邦国家統計局沿海地方支部によると前年同期比11.1%増だった(添付資料表参照)。自動車や船舶といった輸送用機器の生産が比較的好調だった。

鉱工業のうち、鉱業は前年同期比6.7%減だった。石炭採掘大手シベリア石炭エネルギー会社(SUEK)の子会社プリモルスクウゴリが2020年11月以降、不採算となった採掘事業を停止したことや、レルモントフスキー採鉱・選鉱コンビナートがタングステン鉱床の枯渇により一時的に操業を停止したことが影響した。

製造業は、前年同期比15.7%増となった。自動車が18.9%増で、うち乗用車が20.0%増だった。自動車専門調査会社アフトスタトによると、沿海地方で唯一の乗用車メーカーであるマツダ・ソレルス・マニュファクチャリング・ルスは、2021年上半期に1万1,579台を生産した。主に船舶や航空機からなる、その他輸送用機器は約80%増になった。ボリショイ・カメニに拠点を置く造船所ズベズダが、天然ガス大手ノワテクと海運大手のソフコムフロートから受注した、石油製品輸送用中型タンカーの建造を1月に着手したほか、1月と4月にそれぞれノワテクから受注した砕氷液化天然ガス(LNG)タンカーの建造を始めた。

また、食品加工は前年同期比1.6%減だった。うち、水産品と乳製品がそれぞれ11.3%減、5.5%減となった。水産品の減少は2020年からの新型コロナウイルス感染拡大以降、主要輸出先の中国が、ロシアからの水産品輸入を制限していることが影響した。当地報道によると、商品や船員から新型コロナウイルスが検出されたなどの理由で、青島港や大連港でロシアからの水産品輸入が停止されている。

沿海地方の鉱工業生産を月別でみると、2020年3月以降、前年同月比減が続いていたが、2021年3月に増加に転じ、5月を除く各月で前年同月比増となっている。

(タギール・フジヤトフ、浅元薫哉)

(ロシア)

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