フィリピン中銀、デジタル銀行設立の申請受け付けを8月末で終了

(フィリピン)

マニラ発

2021年08月26日

フィリピン中央銀行(BSP)は8月19日、デジタル銀行(注1)設立の申請について、BSPでの受け付けを8月末で終了すると発表した。BSPは、デジタル銀行の設立数を制限することで、新設されるデジタル銀行の間で安定的に市場競争が行われることを期待している。ベンジャミン・ディオクノ総裁は「デジタル銀行が銀行システムに与える影響や金融包摂(注2)の観点からの有益性について、BSPはモニタリングをしていく」と話している。また、デジタル銀行の数について、金融政策委員会(MB)が既に適切な水準に達していると3年間のモニタリング期間中に判断すれば、以後、新規のデジタル銀行設立は行われないだろう、と同総裁は付け加えた(政府通信社8月19日)。

8月19日時点でデジタル銀行設立の申請が受理されているのは以下の5行。

  1. ウノバンク:シンガポールのフィンテック企業ディジバンク・アジアの子会社。
  2. ユニオン・デジタル・バンク:アボイティス財閥系のユニオン・バンク・オブ・ザ・フィリピンの子会社。
  3. ゴータイム:ゴコンウェイ財閥と、シンガポールに本拠地を置くデジタル金融グループ、タイムの合弁会社。なお、タイム傘下のタイムバンクは、南アフリカ共和国でデジタル金融サービスを展開している。
  4. 海外フィリピン人銀行:国有大手銀行フィリピン不動産銀行の子会社。デジタル銀行へと事業転換する。
  5. トーニック・バンク:フィリピンの地方銀行(2019年に登録)。デジタル銀行へと事業転換する。

なお、BSPは上記のほかに、2件のデジタル銀行設立の申請について、手続きを進めていると明らかにした。

(注1)デジタル銀行とは、物理的な支店を持たずに、金融商品・サービスをデジタルな方法によって提供する銀行の類型を指す。フィリピン中銀は2020年12月、同類型を新たに導入した。

(注2)ファイナンシャル・インクルージョン。国民全員が、基本的な金融サービスを受けられること。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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