7月のCPIは前年同月比2.6%上昇、物価上昇の懸念強まる

(韓国)

中国北アジア課

2021年08月05日

韓国統計庁は8月3日、7月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.6%上昇したことを発表した。CPI上昇率は5月に2.6%を記録し、2012年4月(2.6%)以来9年1カ月ぶりの高い水準を記録したが、7月はそれに並んだ(添付資料図参照)。そのため、韓国では物価の先行きをめぐって懸念も出ている。

7月の消費者物価を品目別にみると、特に生鮮食品や石油製品の上昇が目立った。農畜水産物は前年同月比9.6%上昇した。中でも、鳥インフルエンザ発生の影響を受けた鶏卵は57.0%上昇し、物価高の象徴となった。ニンニク(45.9%)や唐辛子粉(34.4%)など価格が大幅に上昇した品目もあった。これに関連して「毎日経済新聞」(電子版8月3日)は「農産物が猛暑により葉先がしおれるなどの被害を受けている」「新型コロナウイルス禍と猛暑により産地で外国人労働力が不足、人件費が上昇し、収穫と出荷に支障が生じている」といった小売り関係者の声を紹介している。石油製品では、国際的な原油価格上昇の影響で、ガソリンが19.3%、軽油が21.9%、それぞれ上昇した。

ただ、こうした価格の変動が大きい農産品と石油類を除いた指数(コアCPI)の上昇率も徐々に高まっている。7月のコアCPI上昇率は1.7%と、2017年8月(1.8%)以来3年11カ月ぶりの高い水準となった。つまり、7月の物価上昇が一時的なものとは言い難く、今後も物価上昇傾向が続く可能性もある。

韓国銀行(中央銀行)は物価目標を2.0%としているが、既に4カ月連続でその水準を上回っている。そのため、2020年5月以降0.5%の低水準で据え置いている基準金利の引き上げ時期が早まるのではないかとの観測も出ている。しかし、実際に利上げとなった場合、韓国経済のアキレス腱(けん)の1つともいわれる家計債務問題が深刻化する恐れもある。「ソウル経済新聞」(電子版8月4日)は社説で「市場では、早ければ今月中にも基準金利が引き上げられる可能性があるとみている。基準金利が上がると、借入金利も上昇し、家計の負債返済に支障が生じる」と述べている。

(百本和弘)

(韓国)

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