ワクチン接種50%超の州で、国家回復計画移行条件を変更

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年08月12日

マレーシアで「国家回復計画(NRP)」の調整担当相を兼任するザフルル・アジズ財務相は8月7日、自身のフェイスブックにおいて、NRPの段階移行の条件の一部変更を発表した。

従来の条件は、(1)人口10万人当たりの新規感染者数の閾値(いきち)を各段階で設定し、過去7日間の平均が本値を超えないこと(注1)、(2)集中治療室(ICU)の利用状況、(3)ワクチンを2回接種した人の成人人口比率だ。対して、ワクチンの2回接種が完了した人数の成人人口比率が50%を超えた州・連邦直轄地では、(1)の条件を、「新規感染者数」から「カテゴリー3からカテゴリー5に該当する新規感染者数を基に、入院による呼吸補助治療が必要な新規感染者数」に変更する(注2)。 ICUの利用状況も引き続き条件の1つで、数値ではなく定性的な目標設定となっている(2021年7月19日記事参照)。

保健省は7月16日から、感染者数を症状により5段階に分けて発表しており、カテゴリー3からカテゴリー5は肺炎の症状があり、酸素吸入や人工呼吸器などによる治療を必要とする者が対象となっている。

8月11日時点で2回目のワクチン接種を終えた人数の成人人口比率は40.7%に達しし、サラワク州(76.8%、NRP第3段階)、クアラルンプール首都圏(57.9%、NRP第1段階)、ネグリ・センビラン州(55.6%、NRP第1段階)で既に50%超を達成している。ただし、州ごとの進捗状況のばらつきが課題となっており、NPR第1段階の中でもジョホール州、ケダ州は、それぞれ23.4%、27.8%と全国平均より低い水準にとどまる。

SOP更新、操業許可業種などに変更なし

また、国家安全保障委員会(NSC)は8月10日付で、NRP第1段階、第2段階、第3段階の各SOPを発表した。各段階における禁止業種・活動、操業可能業種などに変更はなく、移動制限に一部変更があった。主な変更点として、ワクチン接種のために、自家用車などで移動する際の乗車人数制限が、第1段階では3人まで、第2段階および第3段階では乗車上限人数までに緩和された。そのほか、第2段階では自宅から半径10キロ圏内の外出制限が撤廃された。

(注1)人口10万人当たりの新規感染者数の閾値は、第1段階から第2段階は12.2人、第2段階から第3段階は6.1人、第3段階から第4段階は1.5人。

(注2)ワクチン接種が50%超となった場合のカテゴリー3からカテゴリー5に該当する新規感染者数の閾値は、第1段階から第2段階は6.1人、第2段階から第3段階は3.0人、第3段階から第4段階は1.3人。8月11日時点で、全国のカテゴリー3からカテゴリー5の新規感染者は400人、人口10万人当たり1.2人となっている。

(田中麻理)

(マレーシア)

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