第2四半期の輸出入、輸出は過去最高額を記録

(スイス)

ジュネーブ発

2021年08月03日

スイス連邦関税局は7月20日、2021年第2四半期(4~6月)の貿易統計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。輸出は前期比3.2%増の604億5,200万スイス・フラン(約7兆2,542億円、CHF、1CHF=約120円)、輸入は3.8%増の489億2,800万CHFで、貿易黒字は115億2,400万CHFだった(添付資料表1参照)。輸出は4四半期連続で増加し、600億CHFを初めて上回り、過去最高額を記録した。輸入は、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年第4四半期の金額に18億6,200万CHF及ばなかったものの、前期比1,777億CHF増となった。

輸出を品目別にみると、最大輸出品目である化学品・医薬関連品(前期比4.7%増)の増加が輸出拡大に大きく貢献した。特に、免疫学的製品(5.0%増)、医薬品基礎材料(22.7%増)の伸びが顕著だった。金属(5.7%増)、時計(1.9%増)も伸び率は低下したものの、引き続き好調だった。スイス時計協会PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、2021年6月の時計輸出は前年同月比71.0%増となり、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準への回復の動きが加速しているとの見方を示した。特に、主要市場である中国向けの輸出が2019年同月比で約2倍の伸びを記録したことが貢献した。一方、機械および電気・電子機器(0.9%減)は微減となり、装身具・宝飾品(5.1%減)は2期連続で減少した。

輸出を国・地域別にみると、欧州が前期比5.6%増、中でもスペイン向けの輸出(27.5%増)が免疫学的製品に牽引されて増加した(添付資料表2参照)。オーストリア(10.5%増)、ベルギー(13.1%増)も、化学品・医薬品の輸出の伸びに牽引されて増加した。アジア向けは、日本(8.6%増)が増加した一方で、化学品・医薬関連品の輸出が大きく減少した中国向け(14.0%減)が影響し、アジア全体で1.7%減となった。

輸入を品目別にみると、化学品・医薬関連品が前期比5.1%増と拡大し、特に免疫学的製品、医薬品原料の伸びが貢献した。一方で、有効成分の輸入は前期比で半減した。

また、エネルギー製品(26.8%増)、金属(8.8%増)も増加し、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の水準に戻った。一方で、輸送用機器(1.6%減)は前期に引き続き減少した。

輸入を国・地域別にみると、欧州(前期比2.9%増)、アジア、(4.6%増)、北米(15.2%増)の主要市場全てで増加した。欧州では、特にスペイン(18.8%増)からの輸入が化学品・医薬関連品の伸びに牽引され、過去最高額を記録した。アジアでは、免疫製品の輸入が前期比で倍増した韓国(2.2倍)が大きく伸びた一方で、日本(2.2%減)とシンガポール(30.4%減)からの輸入は、医薬品・診断用医薬品・ビタミンの縮小が影響して減少した。

(城倉ふみ)

(スイス)

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