高まる人権リスクにしっかり備えを、セミナーで呼び掛け

(世界)

海外調査企画課

2021年08月06日

ジェトロは8月5日、経済産業省と共催で、「サプライチェーンと人権」をテーマにオンラインセミナーを開催した。近年、世界全体で、ビジネスおよびサプライチェーンにおける人権への配慮が、企業の持続可能な活動のために欠かせない要件となっている。今回のセミナーでは、人権をめぐる内外の動向、企業に求められる人権尊重の取り組みなどについて、4人の専門家が解説を行った。

冒頭、経済産業省大臣官房ビジネス・人権政策統括調整官の柏原恭子氏は、人権に関わる政府の取り組みとして、現在、25カ国が「ビジネスと人権」に関する行動計画を策定しており、日本政府も2020年、策定したこと、また、経済産業省内でもビジネスと人権への取り組みを統括する新たな専門部署を設置し、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます等で情報提供していること、などを紹介。「ジェトロとも協力し、経済産業省としても、日本企業が国際的な規範や基準を尊重することにより、グローバルなサプライチェーンにつながり続け、持続可能な企業経営を行えるよう、必要な情報提供をしていきたい」と語った。

続いて、オリック東京法律事務所弁護士の蔵元左近氏は、日頃から企業への実践的な助言を行っている立場から、自社のビジネスが国内外の人権にもたらす影響を把握できないことは重大な経営リスクと指摘。コンサルタントや弁護士任せにせず、当事者意識をもって、国連指導原則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど重要文書の内容を十分に理解することが重要とした。また、複数の企業や業界団体での対応、政府機関との連携、戦略的な情報開示など創造的なリスクマネジメントの重要性も訴えた。

アジア経済研究所新領域研究センター法・制度研究グループ長の山田美和氏は、人権デューデリジェンスに当たって、経済団体、労働組合、市民社会組織、国際機関などのステークホルダーとのコミュニケーションや対話などによるエンゲージメントの重要性を訴えた。また、日本企業はサプライヤーや取引先に対して、人権についての意識啓発や取り組みを支援することで、企業価値の向上につながると説いた。

続いて、国際機関ILO駐日事務所渉外・労働基準専門官の田中竜介氏は、ILO多国籍企業宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、人権に関する重要文書である国連指導原則、OECDのガイドラインとも整合的なもので、多国籍企業の社会的責任のある労働慣行をとりまとめたものとして、その概要を解説した。同ガイドラインに沿ったタイの日系自動車部品メーカーの実践事例なども紹介した。

最後に登壇した、OECD責任ある企業行動センター・サプライチェーン・デューデリジェンスアナリストの日ノ下レナ氏は、OECD多国籍企業ガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)について、責任ある企業行動に最も包括的な国際的文書であり、リスクを特定し、防止・対処するためのサプライチェーン・デューデリジェンスについて具体的な期待事項が盛り込まれていると説明した。また、同ガイドラインをわかりやすく解説したOECDデューデリジェンス・ガイダンスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)についても紹介し、活用を呼び掛けた。

なお、本セミナーの録画動画をジェトロ・ホームページWEBセミナーのコーナーに掲載している。

(若松勇)

(世界)

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