第2四半期のGDP成長率は前期比1.6%、8月の景況感は前月比1.3ポイント減で先行きに懸念

(ドイツ)

ベルリン発

2021年08月31日

ドイツ連邦統計局は8月24日、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(前期比、確定値、季節調整済み)を1.6%と発表した。今回の確定値では、7月30日の速報値1.5%から0.1ポイント上方修正された。前年同期比では9.4%だったが、新型コロナウイルス危機以前の2019年第4四半期(10~12月)と比較するといまだ3.3%下回る水準にある。

前期比での需要項目別の内訳をみると(添付資料表参照)、内需が3四半期ぶりにプラス成長となった。最終消費支出は前期比2.8%増で、中でも個人消費支出が3.2%増だった。新型コロナウイルス感染拡大防止のための規制措置が緩和されたことで、個人消費は前期の5.2%減から大きく改善した。総固定資本形成は0.5%増だった。外需(純輸出)については、輸出入はいずれも増加したが、輸入の伸び(2.1%増)が輸出の伸び(0.5%増)を上回ったため、0.6%減と第1四半期に続き下押し圧力となった。

産業別でみると、製造業は前期比1.3%減と2四半期連続のマイナス成長になった。一方、公共サービス・教育・保健は3.8%増と大きく伸びた。新型コロナ対策の規制措置が緩和された影響により、卸小売・運輸・宿泊・飲食業も1.1%増となった。

ドイツ産業連盟(BDI)のヨアヒム・ラング事務局長は同日、この発表を受け、製造業が直面している部材供給の逼迫について短期的な解決策はないとして、「EUは戦略的自律性(注1)の強化を視野に、供給のボトルネック問題に迅速に対応すべき。企業は自身の利益のため、サプライチェーンの多様化と、新たな調達ルートの確保をすべき」と指摘した。

景況感は下落、部材の供給不足と感染者増への懸念が響く

ifo経済研究所によると、8月25日発表の8月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は、99.4と前月比1.3ポイント減となり、2カ月連続で悪化した。製造部門での部品・部材の供給不足と、増加する新型コロナウイルス感染者数に対する懸念が影響した。8月のDI値(注2)は、建設部門が7.8と前月から1.8ポイント増になったが、その他は軒並み下落した。特に、商業部門が9.0と前月の15.8から大きく落ち込んだ。

(注1)EUの戦略的自律性とは、気候変動、経済・金融、デジタル化や外交などの分野において、欧州が自己決定した価値と利益を守り、これに沿った政治的決定を行い、世界秩序の形成に貢献するという考え方。

(注2)Diffusion Indexの略。ビジネスの状況を「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた値。

(ヴェンケ・リンダート)

(ドイツ)

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