新型コロナによる入国制限措置、2022年から緩和の方針

(ニュージーランド)

シドニー発

2021年08月16日

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は8月12日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための入国制限措置について、2022年第1四半期(1~3月)から緩和する計画を発表した。

同国は2020年3月以降、外国人の入国を原則禁止し、海外からの帰国者には14日間の隔離を義務付けてきた。今回の計画は、疫学や公衆衛生の専門家から成る諮問委員会がとりまとめた提言に基づくもので、感染状況に応じて各国を低、中、高リスクの3段階に分類し、次のとおりに対処する。

  • 低リスク国からの渡航者:ワクチン接種済みの場合は、隔離なしでの入国を許可する。
  • 中リスク国からの渡航者:ワクチン接種済みの場合は、政府管理の隔離施設での短期滞在と自宅などでの自己隔離を組み合わせた対応を検討する。そのため、海外渡航の必要がある企業などを対象に、2021年10~12月に試験プログラムを実施する。
  • 高リスク国からの渡航者:ワクチン接種の有無にかかわらず、全ての渡航者に感染検査を実施し、これまでどおり政府管理の隔離施設での14日間の隔離義務を課す。

これらに対応するため、渡航者による申告システムの開発、空港到着時の迅速検査、自己隔離のルール設定などのほか、接触追跡機能などの公衆衛生対策も強化する。

ただし、アーダーン首相は、同国がこれまで追求してきた「感染排除」戦略を維持する方針を示した。そのためにはワクチン展開を加速する必要があるとして、2021年9月1日までに全ての接種対象年齢層がワクチン接種を予約できるようにする。また、できるだけ多くの対象者がワクチンの初回接種を受けることができるよう、2回のワクチン接種の間隔をこれまでの3週間から6週間に変更するとした。

なお、オーストラリアとの間では、2021年4月にトラベルバブル(隔離なしの相互一般渡航)を開始した(2021年4月7日記事参照)。しかし、オーストラリア国内でデルタ型変異株の感染が拡大し、ニューサウスウェールズ州やビクトリア州などで再び外出制限が課されたことから、ニュージーランド政府は7月24日以降、少なくとも8週間はトラベルバブルを停止するとしている。

(住裕美)

(ニュージーランド)

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