人種や支持政党の違いによって異なる差別意識、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2021年08月18日

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは8月12日、米国民の人種差別に関する意識調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)を発表した。

2020年5月にミネソタ州でジョージ・フロイド氏が死亡した事件に端を発し、全米で抗議運動が広がったが、その後の人種的不平等への取り組みや今後の進展については、意見が大きく分かれる結果となった。

調査結果によれば、人種差別などの歴史について注意を払うことが「良い」とする割合は、53%と過半数を占めた。人種別では、黒人では「良い」との回答は75%と最も高く、アジア系(64%)、ヒスパニック系(59%)が続いた。白人は46%と半数を下回った。支持政党別では、民主党支持者で「良い」との回答は78%と高かったが、共和党支持者では25%にとどまった。

人種などの違いにかかわらず、平等の権利を確保するために多くの措置を必要とすると回答した人は半数の5割だった。人種別では、多くの措置を必要とするとの回答は黒人の77%で最も高く、ヒスパニック系が59%、アジア系が56%となったが、白人は42%と半数を割った。支持政党別では、民主党支持者の74%に対し、共和党支持者は22%と違いが鮮明だった。

具体的な方策として、「法律や制度を再構築する必要がある」との回答が25%、「法律や制度が平等でなくても、現在のシステムで必要な変更を加えることが可能」との回答は24%となった。法律や制度を再構築する必要があると答えた黒人は58%と最も高く、ヒスパニック系(30%)、アジア系(24%)との差も大きかった。白人は18%だった。

白人との不平等感にもギャップ

社会において、白人は黒人にはない特権を享受しているとする回答は、57%と過半数に達した。人種別では、黒人の92%が、白人が特権を享受していると回答しており、アジア系(73%)、ヒスパニック系(70%)も高かった。一方、白人は47%と半数に満たなかった。また、民主党支持者では、黒人が93%と最も高いが、アジア系(87%)、ヒスパニック系(84%)、白人(82%)と人種の違いにかかわらずおしなべて高かった。一方、共和党支持者では、ヒスパニック系が46%、白人が20%と支持政党別で違いが大きかった。

(注)実施時期は、2021年7月8~18日。対象者は、全米1万221人。

(松岡智恵子)

(米国)

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