タタ・モーターズ、グジャラート州での車両廃棄施設の設置計画を発表
(インド)
アーメダバード発
2021年08月25日
インド大手自動車メーカーのタタ・モーターズは8月13日、グジャラート(GJ)州政府と協力し、投資促進活動の一環として、同州最大都市のアーメダバードに車両廃棄施設(RVSF)を設置することを発表した。アーメダバードの使用済み乗用車と商用車の両方を対象とし、年間最大3万6,000台をリサイクルする能力を持つ施設だ。道路交通・高速道路省とGJ州政府が主催し、州都ガンディナガルで開催された「投資家サミット」で覚書が締結された(2021年8月20日記事参照)。具体的な場所や提携先パートナー企業、設立時期などは明らかにされていない。
新施設は、道路交通・高速道路省の新たな「車両廃棄政策」と、インド自動車研究所連盟(ARAI)と中央公害管理局(CPCB)の「車両解体ガイドライン」に準拠したものとなる。実現に向けて、州政府港湾・運輸局がGJ州政府の諸規則や車両廃棄政策に基づき、施設の設置に必要な承認を得るための支援を行う。
タタ・モーターズの発表によると、「RVSFは、スクラップや原油輸入コストの削減、中小企業の雇用機会創出、新車販売台数増加、自動車所有者の運用コスト削減、消費者へより安全でクリーンな自動車の提供、持続可能な環境の実現などのメリットがあり、あらゆるステークホルダーの意向に応えるもの」としている。同サミットでは、今後同様の車両廃棄施設がPPP(官民連携)方式で段階的に全国に設置されるとした。
モディ首相の出身地のGJ州は「第4の自動車ハブ」としての存在感を増している。6月に発表した州独自の「EV促進策」では「EVハブ州」となることも表明。さらに、今回は「車両廃棄政策」でも先鞭(せんべん)をつけたかたちになっている。
なお、同サミットでは、GJ州をインド随一の廃船産業の集積地として、総合的な「スクラップ・ハブ」として開発する可能性も示された。「廃船産業」と「車両廃棄」を結び付けた同州ならではのユニークなコンセプトで、州内に新たな有望産業クラスターを育てることができるか注目される。GJ州は長い海岸線を有し、港湾施設が整備され、「国際海事クラスター」(2021年6月29日記事参照)に向けた集積も進めている。
(古川毅彦)
(インド)
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