グリーンピース、サハリン州の環境取り組みを高評価

(ロシア)

モスクワ発

2021年08月25日

国際環境NGOのグリーンピースによるグリーンディール(注1)の取り組みを評価するロシア地方別ランキングで、2025年までのカーボンニュートラル達成を国内で初めて目標に掲げたロシア極東のサハリン州が1位となった。今後計画されるグリーン水素(注2)の生産と輸送部門での活用も評価された。

グリーンピースのロシア支部が8月3日発表した(添付資料表1参照)。2位はハバロフスク地方とレニングラード州だった。ハバロフスク地方は廃棄物の発生を減らしてリサイクル可能な商品の使用を促進する政策を実施している。レニングラード州では地中熱ヒートポンプを使用して校舎を暖房する実験が行われている。

3位には2018年から市営バスに電気バスを導入したモスクワ市が入った。2032年までに全ての市営バスを電気バスに置き換える計画だ。

4位はウドムルト共和国とベルゴロド州だった。ウドムルト共和国政府は2019年に大規模イベントでごみの発生を抑制するガイドラインを作成した。ガイドラインでは再利用可能な食器を優先的に使用することを求めている。ベルゴロド州では国立工科大学が再生可能エネルギーに関する専攻科を2012年から開設している。同州では欧州企業と協力して、畜産施設内でのバイオガスプラント建設の事前調査が行われた。

5位のトムスク州では地熱を使用して公共施設や住宅に熱を供給しているほか、地元大学が2020年12月にロシア科学アカデミーなどとともに水素燃料技術を開発するコンソーシアムを立ち上げた。

今回のグリーンピースによるランキングは、優れた取り組みをプラス評価とするだけでなく、ロシア政府が推し進める天然ガス利用などを「誤った」取り組み(添付資料表2参照)としてマイナス評価として加味した。

(注1)欧州で導入された概念で、温室効果ガス排出が実質ゼロとなる「気候中立」を達成するための政策や行動計画のことを指す。

(注2)風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用して生産される水素。

(注3)家庭ごみを主原料とするごみ固形燃料。

(エカテリーナ・セミョノワ)

(ロシア)

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