上半期の輸出入とも2桁増と好調、新型コロナ禍から回復

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年08月23日

マレーシア統計局は8月4日、2021年上半期(1~6月)の貿易総額が前年同期比26.0%増の1兆561億リンギ(約27兆4,586億円、1リンギ=約26円)と発表した(添付資料表1参照)。

上半期は、輸出が30.2%増の5,856億リンギ、輸入が21.1%増の4,705億リンギと、いずれも2桁増だった。貿易総額、輸出総額は半期の過去最高を記録した。世界的な半導体不足に伴う集積回路の需要増や、パーム油、原油の価格上昇が要因とみられる。貿易収支は輸出の伸びが輸入を上回り、87.7%増の1,150億リンギで過去最高の黒字となった。

輸出を品目別にみると、上位品目が軒並み前年同期を上回った。全体の36.5%を占める電気・電子製品が2,137億リンギと28.4%増加した(添付資料表2参照)。同品目の約半分を占める集積回路は30.7%増の1,066億リンギだった。「新型コロナ禍」によるデバイス製品の需要増が背景にあるとみられる。また、パーム油・同製品、精製石油製品は、パーム油、原油の価格上昇に伴い、ともに2桁増だった。ゴム手袋も引き続き世界需要が高く、3.1倍の365億リンギとなった。輸入でも、上位品目が2桁もしくは3桁増で、特に金が3.5倍と好調だった。

輸出入を国・地域別にみると、米国を除く上位貿易相手国で前年同期比2桁増と回復が顕著だった。最大の貿易相手国である中国との貿易は、輸出が27.7%増の889億リンギ、輸入が37.1%増の1,106億リンギとなった(添付資料表3参照)。米国向けは、輸出が47.3%増の681億リンギと好調だったが、輸入が1.6%増とほぼ横ばいだった。日本向けの輸出入は、それぞれ2桁増で拡大した。

輸出を四半期ごとにみると、2021年第1四半期(1~3月)から回復基調が強まり、第2四半期には、中国を除く全ての上位貿易相手国・地域向け輸出寄与度が拡大した(添付資料図参照)。

2021年6月から7月中旬にかけて首都圏では、食品や医療関連製品を除くほぼ全ての製造業の操業停止など厳しい制限内容を伴う「強化された移動制限令(FMCO)」が発令されていたが、6月単月の輸出額には大きな影響はなかった。

マレーシア民主主義・経済研究所(IDEAS)上級研究員のカーメロ・フェリト氏は、新型コロナウイルスワクチン接種率の向上に伴う段階的な経済活動の再開および世界的な経済回復を鑑みて、2021年下半期の貿易も引き続き好調、と予測する。また、移動制限令下でも好調な輸出については、国内の小売業での需要減に伴い、製造業者が製品を輸出へ振り向けたことが要因とした(「ザ・スター」紙7月30日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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