米テック大手、新型コロナワクチン接種義務化やオフィス再開延期の動き

(米国)

サンフランシスコ発

2021年08月06日

米国カリフォルニア州で新型コロナウイルスのデルタ型変異株感染者が増加傾向にある中、シリコンバレーを含むサンフランシスコ・ベイエリアのテック大手企業がオフィス再開に関する新たな方針を打ち出し始めている。

グーグルは7月28日、同社キャンパスに出社する従業員に対してワクチン接種を義務化すると発表した(注)。まずは米国オフィスの従業員を対象に開始し、数カ月かけて他国へ拡大していく予定だ。このほか、現地メディアの報道によると、フェイスブックやウーバー・テクノロジーズも同様に米国オフィスに出社する従業員にワクチン接種を義務付ける方針という。

また、テック大手の間では、オフィス再開時期を延期する動きも出ている。9月中をめどに再開を予定していたグーグルやウーバー・テクノロジーズ、アップルは早くて10月中に、リフトは2022年2月へ延期した(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版7月30日)。なお、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)に取材したCNBCのレポーターは自身のツイッターで、アップルはワクチン接種を義務化するかは未定と伝えている(7月28日)。

ツイッターは新型コロナウイルス感染者数の増加を受け、再開から2週間が経過したサンフランシスコとニューヨークのオフィスを再度閉鎖した。新たな再開時期は未定としている(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版7月28日)。

こうしたリモートワークの長期化をビジネスの好機として発展する米国のスタートアップも見られる。企業のリモートワークへの移行を支援するファーストベースは、クライアント企業の従業員に、ノートパソコンから人間工学に基づいた椅子やデスクまで自宅で快適に働くために必要な機材一式をそろえる。ITサポートなども提供し、従業員1人につき一定の月額料金を企業に請求する仕組みだ。同社のクライアントの中には、ホームフィットネス事業を手掛けるペロトンのフィットネスバイクを従業員に提供を検討する企業もあるという。ファーストベースからのサービス提供を待つ企業は、感染拡大前は600社だったが、現在では1万3,500社に上る。また、同社の勤務形態も完全リモートとなっている。

(注)健康上などの理由からワクチン接種ができない人向けの例外措置も設けるとしている。

(田中三保子)

(米国)

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