オーストラリアのテクノロジー企業、評議会を設立

(オーストラリア)

シドニー発

2021年08月12日

オーストラリアのテクノロジー関連企業は8月11日、オーストラリア・テクノロジー評議会(Technology Council of Australia)を設立したと発表した。同評議会は、スタートアップ支援を行う非営利団体スタートアップ・オース(StartupAus)を引き継ぎ、テクノロジー産業の成長や投資を促進して、オーストラリアの雇用創出と経済成長の推進力となることを目指す。

オーストラリア通信大手テルストラの元幹部で、米国の電気自動車大手テスラの会長を務めるロビン・デンホルム氏を議長として、ソフトウェア企業のアトラシアンやキャンバ、フィンテック企業のアフターペイ、HRテック(人材技術)企業のカルチャーアンプなど、オーストラリアを代表するテクノロジー企業の創業者が理事会に名を連ねた。これらの企業に加え、会員企業には、マイクロソフトやグーグルといった国際的なIT大手企業や、ブラックバード、エアツリー・​ベンチャーズ、メインシーケンス・ベンチャーズ、スクエアペッグなどのベンチャーキャピタル(VC)も参加する。

同評議会によると、オーストラリアのテクノロジー産業は1,670億オーストラリア・ドル(約13兆5,270億円、豪ドル、1豪ドル=約81円)の経済成長をもたらし、鉱業、金融業に次いで大きな貢献を果たしている。また、テクノロジー産業関連の雇用は86万1,000人に上るという。同評議会は、オーストラリアをテクノロジー企業の創設や投資において最良の国とするため、2025年までに100万人の雇用を創出し、2030年までに経済成長への貢献を2,500億豪ドルに拡大することを目標に、政府との連携を強化し、ビジネス環境の整備に努めるとした。

同評議会の理事会メンバーであるアフターペイ(注)の共同創業者アンソニー・エイセン氏は、現地紙の取材に対して「オーストラリアのテクノロジー産業はいまだかつてない成功を収めて波に乗っており、世界の最も優れた人々の注目を集めている」と述べた。なお、アフターペイは8月2日、米国決済大手スクエアに約390億豪ドルで買収に応じることで合意した、と発表した。

(注)デジタル後払い決済サービス「バイナウ、ペイレーター(BNPL)」を提供するオーストラリアの主要企業で、米国、英国、ニュージーランドにも展開している(2020年10月8日付地域・分析レポート参照)。

(住裕美)

(オーストラリア)

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