北朝鮮の2020年GDP成長率、マイナス4.5%

(韓国、北朝鮮)

ソウル発

2021年08月12日

韓国銀行(中央銀行)が7月30日に発表した資料「2020年の北朝鮮の経済成長率推定結果」(注)によると、2020年の北朝鮮の実質GDP成長率はマイナス4.5%と、1997年(マイナス6.5%)以来の大幅な減少率を記録した。

産業別では、ほとんどの産業が減少した。特に、鉱業(9.6%減)、農林漁業(7.6%減)、軽工業(7.5%減)、サービス業(4.0%減)の減少幅が大きかった(添付資料表参照)。一方、2019年に観光地区開発や発電所工事などを中心に2.9%増加した建設業は、住居用建築が伸びて1.3%増となった。2019年に4.2%減だった電気・ガス・水道業は、火力発電が減ったが、水力発電が伸びて1.6%増とプラスに転じた。

産業別構成比をみると、製造業(18.7%)、建設業(9.4%)、サービス業(34.5%)、金融保険・不動産業(6.7%)のシェアが微増し、農林漁業(21.9%)や鉱業(9.5%)、運輸業・通信業(1.1%)は低下した。

韓国銀行の関係者は「マイナス成長の背景は、気象条件の悪化と、新型コロナウイルス感染拡大防止のための中朝国境の封鎖によって中国との貿易が急減したことが挙げられる。2020年の北朝鮮の貿易額(韓国との搬出・搬入は除く)は8億6,300万ドルで、前年比73.4%減少した」と説明した。

また、民間シンクタンクの有識者は「2016年(3.9%増)以降、3年ぶりのプラス成長となった2019年(0.4%増)のプラス成長は、国連による対北朝鮮制裁が2017年末以降は強化されなかったことに起因する。2020年の大幅なマイナス成長は中朝貿易の急減によるもので、中朝国境の封鎖措置が続いている今年もプラス成長は期待できない」と見通している。

(注)韓国銀行は1991年から、北朝鮮の経済活動に関する基礎資料の提供を韓国内の関連機関から受け、北朝鮮の経済成長率を推定している。推定方法は、韓国で国民所得を推計する際に用いる国連の「国民経済計算(SNA:System of National Accounts)」を採用。

〔李丙鎬(イ・ビョンホ)〕

(韓国、北朝鮮)

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