財務省、ニッケル・金をはじめとする鉱物資源の生産拡大に期待

(フィリピン)

マニラ発

2021年08月10日

フィリピン財務省(DOF)のテレサ・ハビタン次官補は7月29日、フィリピン政府が新規の鉱業協定を締結することを可能とした大統領令第130号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2021年4月14日に署名)を踏まえ、フィリピンの鉱業は大きな成長機会を有していると発言した(政府通信社2021年7月30日)。大統領令第130号は、アキノ前政権下で出された大統領令第79号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが定める、政府と事業者との新規鉱業協定締結の停止について、解除することを規定している(注)。

ハビタン次官補は、政府が新規の鉱業協定締結が可能になったことによる経済効果として、2023年までに鉱物生産が金額ベースで年間約150億ペソ(約330億円、1ペソ=約2.2円)の規模まで追加的に増産され、2027年には年間430億ペソの規模になるとの推計を述べた。

需要拡大が期待される鉱物として、ハビタン次官補は「金」と「ニッケル」を挙げた(「ビジネス・ミラー」紙2021年7月29日)。金については、「新型コロナウイルス禍」後に流動性の高い投資資産として、購入が拡大するとみる。また、電気自動車(EV)の利用が世界的に高まる中、バッテリーの生産で使用されるニッケルに対して市場での需要が高まると同氏は指摘した。なお、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の資料によると、金とニッケルはフィリピンの主要鉱産物で、ニッケルの生産量は世界2位に位置する。同氏は、金とニッケルの産出により、最大210億ドルの外貨収入が見込まれる、と付け加えた。

(注)フィリピンでは、全ての鉱物資源は国家が所有するとしており、国家は資源の開発について事業者と協定を結ぶことができる。大統領令第79号では、採鉱事業によって得る収益について、フィリピン政府と事業者との間での合理的な収益分配方法・スキームを策定する法律が成立するまでは、政府は新規の鉱業協定締結を行わないと規定していた。大統領令130号では、フィリピン国内での採鉱を活性化させることによる経済的便益を重視し、政府の新規協定締結を可能とした(政府通信社2021年4月15日)。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

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