日本がブラジル産ひな鳥の輸入解禁
(ブラジル、日本)
米州課
2021年08月23日
ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)は8月17日、ブラジル農業・畜産・供給省を通じて、日本政府がブラジルからの「家きんおよび家きんの初生ひな」(注1)輸入を解禁したとの通達があったと発表した。
日本はこれまで、家きんおよび家きんの初生ひな輸入のほとんどを欧米諸国に頼っていた。農畜産業振興機構(alic)によると、日本では、原種鶏の初生ひなを100%近い割合で輸入し、国内で種鶏を育成し、種鶏の不足分を一部輸入することで食鳥産業が成り立っているという。初生ひなの安定的な供給が求められている(添付資料図参照)。
しかし近年、世界的な鳥インフルエンザの発生により、家きんおよび家きんの初生ひなの輸入を停止、あるいは一定の条件の下でのみ輸入を認める国が増えている。2020年の輸入相手国はカナダ、フランス、オランダ、英国、米国に限られ、そのうち英国からの輸入が最も多く全体の63%を占めていた。なお、英国からも一定の条件をクリアしたもののみの輸入が解禁されている状態だ(注2)。
ブラジルからの輸入は今回が初めてとなる。日本の農水省が2021年8月6日付動物検疫第480号により衛生条件を定め、このたび輸入を解禁した。
日本は、ブラジルから多くの鶏肉(注3)を輸入している。ブラジルは、2020年の日本の鶏肉輸入相手国第1位で、全体の67%を占めた。ブラジル産鶏肉の強みとして、国内でこれまで一度も鳥インフルエンザが発生していないことなどが挙げられている。
このたびの輸入解禁を受け、ABPA会長のリカルド・サンティン氏は「ブラジルの家きん製品が高い品質や衛生基準を求める日本の市場向けに販売の機会を得られたことは大変喜ばしい。ブラジル産品の付加価値になる」と述べ、輸出拡大に期待を寄せた。
(注1)家きんおよび家きんの初生ひな(1羽185グラム以下)のHSコードは、0105.11
(注2)英国からの輸入も、鳥インフルエンザ発生により、基本的には全域からの輸入を一時停止している。しかし、疾病が発生している地域でも、高度な衛生管理により清浄と認められる特定の動物群を取り扱っている施設からの輸入を認めるという国際基準で規定された概念「コンパートメント主義」に基づき、日本が認定したコンパートメント施設からの「生きた家きん」の一時輸入停止措置は解禁されている。
(注3)鶏肉は、概況品00307。該当するHSコードは、0207.11~0207.13、0207.14-2。2020年の輸入相手国第二位はタイで、全体の30%を占める。
(辻本希世)
(ブラジル、日本)
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