EU理事会、入域制限解除国・地域リストを改定、米国などを除外

(EU、EFTA)

ブリュッセル発

2021年08月31日

EU理事会(閣僚理事会)は8月30日、EU加盟国と欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国(注1)以外の国・地域からの不要不急の入域制限措置の解除に関する、2020年6月30日付理事会勧告(2020年7月1日記事参照)の対象国・地域リストを見直す勧告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この対象国・地域リストは、今後も各国の疫学的な状況などを考慮して、定期的に見直されており、今回、2021年7月15日以来の見直しとなった(2021年7月16日記事参照)。

今回の勧告により、イスラエル、レバノン、モンテネグロ、北マケドニア、コソボ、米国が除外された。EUは現在、EU理事会が指定した入域制限解除国・地域からの入域を除き、原則として域外からの不要不急の入域の制限を加盟国に求めている(注2)。今後、今回の見直しを基に、対象国・地域からの不要不急の入国を現在認めている加盟国は、入国の可否をあらためて判断するとみられる。なお、今回リストに追加された国はなかった。

EU理事会は、5月20日付理事会勧告(2021年5月21日記事参照)で、例外的にワクチン接種完了者に対する不要不急の入域制限を原則撤廃する方針を決定しており、今回の勧告でも加盟国が、ワクチン接種完了者に対しては、リストに不掲載の国・地域からの不要不急の入国の制限を解除することができるとしている。

今回のEU理事会勧告に基づく、8月30日以降の不要不急の入域制限解除国・地域はアルバニア、アルメニア、オーストラリア、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルネイ、カナダ、日本、ヨルダン、ニュージーランド、カタール、モルドバ、サウジアラビア、セルビア、シンガポール、韓国、ウクライナ、中国、香港、マカオ、台湾。ただし、中国(香港とマカオを除く)は、EUとの相互主義に基づく措置を取ることを条件とする。

入域制限解除国・地域からの入域であっても現状、加盟国によっては、PCR検査の陰性結果証明の提出や自主隔離の実施などの条件(2021年2月3日記事参照)を満たすことが必要になる場合がある。例えば、ベルギーは8月30日時点で、今回発表の6カ国・地域だけでなく、リスト対象国・地域に含まれるアゼルバイジャンと中国も、入国後の検査が必要な「赤色」国に指定している。

(注1)アイルランドを除くEU加盟国と、シェンゲン協定に加盟するアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスが勧告の対象。本勧告で、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカン市国の居住者はEU居住者と見なされる。

(注2)EU理事会の勧告には法的拘束力はなく、入国管理の権限を持つ各加盟国が、EU理事会の勧告に基づき、それぞれ入国制限を実施している。

(安田啓)

(EU、EFTA)

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