白人人口の減少傾向への意識は全般に中立的、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2021年08月24日

米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは8月23日、米国の人口に占める白人の割合が低下傾向にある現状に関する意識調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1、2)を発表した。

それによると、白人の人口割合が低下することを「良い」と回答した人は15%、「悪い」とした人は22%、61%は「どちらでもない」と回答した。人種別、年代別、学歴別、支持政党別で分析しているが、いずれのカテゴリーでも「どちらでもない」が過半数を占めており、中立的な見方が一般的とみられる。

人種別では、「良い」とする割合はアジア系で25%、黒人22%、ヒスパニック系20%だったが、白人では11%にとどまった。「悪い」と回答したのは白人で26%、黒人21%、ヒスパニック系16%、アジア系16%だった。

年代別では、「良い」が18~29歳で29%、年代が高くなるにつれて「良い」の割合は低くなっている。一方、「悪い」は65歳以上では32%と高く、年代が低くなるにつれて「悪い」の割合は低下している。

学歴別では、大学院卒で「良い」と答えた割合は18%、高卒では13%と大きな違いはなかったが、「悪い」とする割合は高卒で28%と、大学院卒(14%)と差が大きかった。「どちらでもない」は、全てのカテゴリーを比較して大学院卒(68%)、大卒(66%)で高かった。

支持政党別では、リベラル派民主党支持者が「良い」とする割合が32%と高かった(中道・保守派民主党支持者は17%)。保守派共和党支持者は「悪い」が38%(中道・リベラル派共和党支持者26%)で、「良い」とする割合は保守派共和党支持者で3%、中道・リベラル派共和党支持者で8%と1桁にとどまった。

今回の調査報告では、自分の人種を白人とする人の中には、別の人種またはヒスパニックと認識する人などもおり、広義の白人人口は2010年から2020年にかけて2%増加しているという。こうした傾向は、他の人種の人との結婚割合の増加など、米国の社会的変化を反映していることを指摘している。

(注1)調査実施時期は7月、対象者は全米の成人1万221人。

(注2)2020年の国勢調査結果で、自身の人種を「白人のみ」と回答した人口は約2億430万人で全体の57.8%、2010年より8.6%縮小した(2021年8月16日記事参照)。

(松岡智恵子)

(米国)

ビジネス短信 430e71f8fca374de