タイ付近の8州でロックダウン、日系企業のサプライチェーンに影響

(カンボジア)

プノンペン発

2021年08月06日

カンボジアのフン・セン首相は7月28日、デルタ株由来の新型コロナウイルス感染拡大防止策として、タイと国境に近い8つの州(注)を7月29日から8月12日までロックダウンすると発表した。物品の輸送や特別な事情を除き、カンボジアとタイの国境を封鎖するとした。タイに住むカンボジア人労働者がカンボジアへの帰国を希望する場合でも、封鎖が解除されるまで待つ必要がある。その他、具体的な措置の内容は、各州が別途決定することになっており、各地域の感染状況などを踏まえ、夜間外出禁止、集会の禁止、州間移動の禁止および企業活動の制限などが実施される予定(在カンボジア日本大使館ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

日系企業は周辺国の感染拡大に伴う生産活動への影響を懸念

ジェトロは8月3日、ロックダウンに指定されているコッコン州で活動する日系企業1社、バンテアイミエンチェイ州で活動する日系企業1社に生産活動への影響についてヒアリングを行った。これまでカンボジアのロックダウンでは感染状況に応じてレッド、オレンジ、イエローの区画(ゾーン)に分け、企業活動の制限などを行っていた。他方、今回のロックダウンでは8月3日現在、両社が活動する地域ではゾーン制が導入されていない、もしくは企業活動が制限される区域に位置していないことから、今回のロックダウンに伴う生産活動への影響は少ない。他方、陽性者が出た場合の稼働人数縮小、従業員が隔離するための住居や交通手段の手配などにかかるコストの増加は引き続き経営上のリスクとした。また、タイの感染状況悪化に伴いタイ側の工場が稼働停止し、部品調達・部品供給に影響が出ることが最も心配な事項だ。今後、カンボジア国内だけでなく隣国の感染状況悪化に伴う、生産活動への影響が懸念される。

(注)コッコン州、ポーサット州、バッタンバン州、パイリン州、バンテアイミエンチェイ州、ウッドーミエンチェイ州、プレアビヒア州、シェムリアップ州を指す。

(井上良太)

(カンボジア)

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