インドネシア政府、アフガニスタン情勢を注視する姿勢

(インドネシア、アフガニスタン)

ジャカルタ発

2021年08月24日

インドネシア外務省は8月16日、アフガニスタン情勢について声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。今後の推移を注意深く見守りつつ、アフガニスタン主導の政治的解決を望むとコメントした。一方、専門家はインドネシア国内のイスラム過激組織の動向に留意する必要があると指摘している。

外務省のテウク・ファイザシャ報道官はアフガニスタン情勢について「非常に流動的だ」とした上で、今後の動向を注視すると述べた。インドネシア科学院(LIPI)の中東研究家ノスタルギアワン・ワヒュディ氏は「アフガニスタンとインドネシア両国は政治・経済面で相互に依存する関係ではないことに加え、歴史的に対立もない」とし、「タリバンによる統治の正統性を急いで判断する必要はない」と述べた(「BBCインドネシア」8月19日)。また、パジャジャラン大学で国際関係論の上級講師を務めるテウク・レザシャ氏は、国外退去したアシュラフ・ガニ大統領が亡命政権を樹立して国際的な承認を得られる可能性を指摘し、「性急にタリバンによる統治の正統性を認める必要性はない」と述べた(「VOAインドネシア」8月16日)。アフガニスタンの和平プロセスで特使を務めた経験を持つユスフ・カラ前副大統領は「天然資源を目的に中国がタリバンに接近し、影響力を強めることを危惧している」と述べた(「ビスニス」紙8月16日)。中国の王毅国務委員兼外交部長は7月28日にタリバン幹部のバラダル師と面談を行っている(中国外交部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

当局は国内イスラム過激組織の動向注視

タリバンの動向がインドネシア国内のイスラム過激組織を刺激すると懸念する声も聞かれる。国家警察対テロ部隊(デンスス88)は、37人がテロ行為を企てたとして逮捕しているが、多くは過激派組織ジェマー・イスラミアと関連があるとされている(「BBCインドネシア」8月17日)。

(上野渉、尾崎航)

(インドネシア、アフガニスタン)

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