製造業や流通サービス業の一部、操業再開や出勤率引き上げなど実施
(マレーシア)
クアラルンプール発
2021年08月17日
マレーシアのムヒディン・ヤシン首相は8月15日、全国的にワクチン接種率が高まってきたこと、一連の行動制限が個人の身体的・精神的な健康状態や経済および企業活動に与える影響に鑑み、州の成人人口(18歳以上)に対するワクチン接種完了者の割合が50%以上を条件に、一部の流通・サービス業の再開および同サービスの利用、製造業などにおける条件付きでの出勤率上限の引き上げなどの緩和措置を8月16日から施行すると発表した(首相府プレスリリース8月15日付)。
利用客はワクチン接種完了者に限定
流通・サービス業では、「国家回復計画(NRP)」第1段階の対象地域で11業種、NRP第2段階の対象地域でさらに11業種の再開が許可される(添付資料参照)。ただし、これらの店舗に入店できる消費者は、ワクチン接種完了者(注1)のみで、入店の際にデジタルワクチン接種証明書を提示することが条件となる。
ワクチン接種率80%以上で100%操業が可能に
製造業、建設業、鉱業・採石において操業不可となっている業種(注2)では、最低でも40%以上の従業員が2回のワクチン接種を完了している場合、操業を再開できる。また、既に操業が許可されている業種においても、一定以上の従業員のワクチン接種率に応じて、出勤率の上限が段階的に緩和される(添付資料参照)。操業再開および出勤率の上限緩和を希望する企業は、従業員のワクチン接種情報として、氏名、国籍、身分証明書番号、接触者追跡アプリ「My Sejahtera」のIDを「新型コロナウイルス情報管理システム(Covid-19 Intelligent Management System:CIMS)」に登録し、新たな操業許可書をダウンロードする必要がある。なお、登録された情報は科学・技術・イノベーション省傘下の新型コロナウイルス免疫タスクフォースで確認作業が行われるとともに、現地査察が行われる場合もあるという。
製造業については、国際貿易産業省(MITI)が別途プレスリリースを発表しており、操業に当たっては、SOP(標準作業手順書)を順守するとともに、出勤する全従業員に対して2週間に1回の抗原検査(注3)を実施することが義務付けられる。
なお、8月16日にMITIが業界団体や商工会議所向けに開催したオンライン説明会によると、参加者からの質問に対し、操業可能業種のうち出勤率(第1段階は60%まで、第2段階は80%まで)の引き上げをしない企業については、CIMSでの従業員のワクチン接種情報の登録は不要との回答があった。
(注1)ワクチン接種完了者の定義については、2021年8月12日記事参照。
(注2)操業可能業種リストに記載のない業種および10%の暖気運転モードでの操業のみ可能となっている製造業など。
(注3)抗原検査は、病院・クリニックでの検査のほか、マレーシア政府が承認した自己検査キットの利用も可。
(田中麻理)
(マレーシア)
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