7月の米失業率は5.4%と改善、非農業部門雇用者数は94万3,000人増

(米国)

ニューヨーク発

2021年08月10日

米国労働省が8月6日に発表した7月の失業率は5.4%(添付資料図、表1参照)と、市場予想(5.7%)を下回った。失業者数が前月から78万2,000人減少したことに加え、就業者数が前月から104万3,000人減少したことにより、失業率は前月の5.9%から0.5ポイント改善した。非農業部門の雇用者は94万3,000人増で、こちらも市場予想(84万5,000人増)を上回り、6月の93万8,000人増とほぼ同等の大幅な増加となった(注1)。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(181万1,000人)より57万2,000人減少して123万9,000人、恒常的な失業者数は前月(318万7,000人)より25万7,000人減少して293万人となり、ともに大幅に減少するかたちとなった。

労働参加率(注2)は前月より0.1ポイント高い61.7%だった。新型コロナウイルス感染拡大への支援として、失業給付などの手当により職探しを行わない人が増えていることが指摘されていたが、6月の労働力人口は前月から26万1,000人増加している。

平均時給は30.5ドル(6月:30.4ドル)と、前月比0.4%増(6月:0.4%増)、前年同月比4.0%増(6月:3.7%増)となり(添付資料表1参照)、前月比は横ばい、前年同月比は微増だった。

6月の非農業部門の雇用者数の前月差は94万3,000人増と前月(93万8,000人増)よりわずかに増加した。6月から7月にかけての雇用増減の内訳をみると、民間部門は70万3,000人増で、そのうち財部門が4万4,000人増、製造業で2万7,000人増、建設業も1万1,000人増と建設業は3月以来の増加となった。サービス部門は65万9,000人増で、特に娯楽・接客業が38万増で増加の半分以上を占めた。その他、対事業所サービス6万人増、教育・医療サービス業8万7,000人増と堅調だが、小売業は5,500人減とわずかながらも4月以来の減少となった。政府部門は、24万人増と、前月の16万9,000人増からさらに増加している。(添付資料表2参照)。

また、7月の人種別の失業率は、白人4.8%(前月5.2%)、アジア系5.3%(前月5.8%)、ヒスパニック・ラテン系6.6%(前月7.4%)、黒人8.2%(前月9.2%)と全ての人種で改善している。

新型コロナのデルタ型変異株の感染拡大により雇用回復が止まることが懸念されていたが、2カ月連続で100万人近い雇用回復で、株式市場には安心感が広がり、8月6日のNYダウ工業株30種平均は過去最高値を更新して3万5,208ドル51セントとなった。

今後の雇用の回復について、米金融大手ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、サラ・ハウス氏とシャノン・シーリー氏は「労働供給に関する制約が引き続き緩和される兆候はあるものの、デルタ株のまん延が先行きを不透明にしている」と述べている。また両氏は、金融政策の変更は雇用の回復具合を見極めて決めるとする連邦準備制度理事会(FRB)の見解について、「FRBは今回の結果に満足していると思われるが、最終的にはさらなる回復を望んでいるはずだ」と述べている。

(注1)6月の非農業部門の雇用者数は、7月に発表された値(85万人、2021年7月6日記事参照)から上方修正されている。

(注2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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