商務部、5カ年規画で産業チェーンにおけるリスク防止対策や管理を強化する方針を発表

(中国、米国)

北京発

2021年07月20日

中国商務部は7月8日、「第14次5カ年規画の商務発展規画」を発表した。同規画においては、商務分野におけるリスク防止対策や管理体系の改善に関する方針が示された。具体的には、貿易摩擦に適切に対応する目的で、貿易摩擦に関するモニタリングとアラートの改善や貿易摩擦に対応するための総合試験区の建設の検討などが盛り込まれた。

貿易管理の面では、輸出許可制度を改善し、的を絞った管理を強化する。輸出管理調査の執法を強化し、輸出管理における違法行為を効果的に取り締まる。また、技術輸出入管理を強化し、輸出入禁止制限技術目録を改定するとともに、リスト管理を中核とした技術輸出入管理体系を構築する。技術輸出入に関する問い合わせ対応などのメカニズムも整備する。

輸入の面では、農産品とエネルギー資源輸入元の多元化の推進を加速し、輸入リスクコントロール能力を引き上げるとともに、輸出管理に関する国際交流や協力を強化し、先進国が中国に対する輸出管理を緩和するよう働き掛ける。

産業チェーンの強化のために、的を絞った外資誘致を実施

貿易や産業チェーンにおけるリスクの防止と管理を強化するために、国家安全、発展環境、産業の状況、貿易投資などの要素を総合的に考慮し、国家経済安全に関連する重点産業、重要戦略資源、重大科学技術分野などについて、産業競争力の調査および評価を行う。まず、重点産業に対して試験的に研究を行い、評価指標を策定し、科学的に有効な評価方法を確立する。さらに、産業間の連絡メカニズムを改善し、調査と評価制度を完備し、外部からの衝撃に対処するためにリスク・アラートや予防・コントロールを強化する。

また、各地方が産業チェーンの強化・安定化に、的を絞った外資企業誘致を行うことを奨励する。優良な外資プロジェクトの誘致を通じて、先進技術、基幹設備や重要な部品の輸入を促進し、中国から輸出する産品の国際競争力を引き上げる。

このほか、国家級経済開発区のイノベーション・レベルアップのために、産業チェーンの「チェーン長制(注)」を普及させ、戦略的新興産業に対する誘致を強化するとともに、各地が重点分野の企業誘致に的を絞るよう指導する。また、各地がそれぞれの事情に応じて、「産業チェーンマップ」や投資プロジェクト・データベースを作成し、誘致情報の共有化を進める。

(注)中国語では、「鏈長制」。商務部によると、「チェーン長制」は、産業チェーン、サプライチェーンの安定性の確保や強化を目的に、2019年に浙江省で初めて実施された制度。各地の党・政府の主要な指導者たちが各産業チェーンの担当となり、トップセールスによる重要プロジェクトの誘致、産業チェーンマップの作製、人材の誘致などを行うもの。現在、江西省、江蘇省など20以上の省市において普及が進んでいる。

(藤原智生)

(中国、米国)

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