綿花輸入を加速、上半期の輸入量は前年同期比7割増

(中国)

中国北アジア課

2021年07月30日

中国では2020年12月以降、綿花の輸入が急増している。ジェトロが貿易データベースの「グローバル・トレード・アトラス」を基に分析したところ、2021年上半期の中国の綿花輸入量は155万トンで、前年同期比72.1%増、新型コロナウイルス禍前の2019年同期比でも31.2%増となった(添付資料図参照)。

輸入相手国・地域別にみると、米国が62万トン(シェア39.9%)、ブラジルが46万トン(29.6%)、インドが32万トン(20.9%)で、この3カ国合計で輸入量の約9割を占める。前年同期比の伸び率はそれぞれ、2.1倍、23.3%増、3.1倍となった。

中国綿花協会が7月27日に発表した推計によると、2020/2021年度(2020年9月~2021年8月)の輸入量は300万トン(前年度比87%増)と見込まれ、2018/2019年度(205万トン)、2019/2020年度(160万トン)と比較しても、ともに約100万トン以上の増加が見込まれる。一方、中国国内の消費量は810万トン(前年度比5.9%増)、生産量は572万トン(3.4%減)とされる。

中国の綿花生産量の87.3%(2020年)は新疆ウイグル自治区に集中しているが(注)、綿花の認証を行う国際団体のベター・コットン・イニシアチブ(BCI)は2020年3月、同自治区での2020/2021年度の認証活動を行わないと表明した。米国政府も2021年1月、同自治区産綿・同製品の輸入の全面的な留保を発表するなど、新疆ウイグル自治区産の綿花をめぐり逆風が吹く中、綿花の需給動向への影響が注目される(2021年1月15日記事参照)。

中国綿花協会が約90社の綿関連の紡績会社を対象に実施した調査結果によると、6月に紡績会社が使用した綿花の内訳は、新疆ウイグル自治区産が87.2%(前年同月よりシェアが4.6ポイント減少)、その他中国産が3.3%、輸入綿花が9.6%(3.3ポイント増加)となり、小幅ではあるが、同自治区産綿花のシェアが低下した一方、輸入綿花のシェアが上昇した。

中国独自の綿花認証制度を構築

一方、中国では中国独自の綿花の認証制度構築を進めている。中国綿花協会を中心に、中国服装協会など複数の業界団体は共同で6月に「『中国綿花』持続可能な発展プロジェクト」を正式に始動した。「中国綿花」の認証システムを構築し、綿花産業の持続可能な発展を推進するとしている。中国綿花協会は4月22日に「『中国綿花』生産管理規範」を発表しており、「中国綿花」の生産、管理に関する基準を設定し、良質な綿花を供給するとともに、環境負荷の低減、労働者の権利や福祉の保障を行うとしている。

(注)中国国家統計局によると、2020年の中国の綿花生産量は591万トン、うち新疆ウイグル自治区の生産量は516万トンで、全体の87.3%を占める。

(森詩織)

(中国)

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