上半期貿易収支は過去最高の367億3,130万ドルの黒字

(ブラジル)

米州課

2021年07月30日

ブラジル経済省は7月1日、2021年上半期(1~6月)の貿易収支(国際収支ベース)を発表した。輸出(FOB)が前年同期比35.0%増の1,358億8,748万ドル、輸入(FOB)が26.5%増の991億5,618万ドルで、貿易収支は367億3,130万ドルの黒字となった(添付資料図参照)。現行の方法で統計を取り始めた1989年以降、過去最高の黒字幅になった。

輸出を国・地域別にみると、いずれの国に対しても前年同期比で大幅に増加し、中でも韓国(69.8%増)、チリ(62.3%増)への輸出は著増した(添付資料表1、2参照)。

しかし、輸出全体の増加に対し各国がどの程度寄与したかを百分率で表す寄与率でみると、中国のそれが36.4%と群を抜いて高かった。つまり、ブラジルの上半期の輸出増加の4割近くが対中輸出によってもたらされたということだ。次いで寄与率が高かったのは米国の9.4%、アルゼンチンの5.5%で、この数字からも対中輸出の増加寄与率が際立っていることが分かる。

輸出を品目別にみると、農畜産業(前年同期比25.0%増)、鉱業(77.9%増)、製造業(22.1%増)の全てにおいて増加した(添付資料表3参照)。特に鉱業の輸出額増加の要因となったのは、石油や鉄鉱石の国際的な需要増加に伴う、鉄鉱石およびその精鉱(2.2倍)や石油、歴青油(41.1%増)などの輸出増加によるもの。輸出全体の増加に対する寄与率をみても、鉄鉱石およびその精鉱が全体の31.3%、石油、歴青油12.2%とこの2品目だけで寄与率は43.5%にも達する。さらに、2021年1~6月の鉄鉱石の平均価格は1トン当たり126.86ドルで、2020年1~6月の1トン当たり64.12ドルと比べるとほぼ2倍の価格になっており、鉄鉱石およびその精鉱の価格の上昇も輸出額の増加要因となった〔ブラジル鉱業ニュース(NMB)7月1日〕。

輸入を国・地域別にみると、ブラジルの主要輸入相手国の中国は前年同期比25.9%増加したことに加え、寄与率をみても21.3%とブラジルの輸入全体への影響が他国より群を抜いて高いことが分かる(添付資料表2参照)。中国の次に寄与率が高かったのはアルゼンチンの7.3%だった。

輸入を品目別にみると、工業用資材が前年同期比で40.8%の増加し、輸入全体の増加に対する寄与率は54.2%だった。工業用資材の23.5%が中国からの輸入だ。また、耐久消費財は、輸入全体の増加に対する寄与は低いものの、伸び率は50.8%にも及ぶことから、国内での需要が回復しつつあることがうかがえる。こうしたことを背景に、7月9日付の中央銀行の週次レポート「フォーカス」によれば、2021年のGDP成長率は5.3%が見込まれている。

(高氏朋佳)

(ブラジル)

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