ポルシェ、高性能蓄電池セル研究・生産のため合弁会社を設立

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年07月01日

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下のポルシェは6月21日、高性能蓄電池セルの研究開発と生産のための合弁会社を設立したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。企業名は「セルフォース・グループ」で、ポルシェとカスタムセルズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの合弁会社となる。ポルシェの出資比率は83.75%。合弁会社は電気自動車(EV)向けの高性能蓄電池セル(注)の研究開発、製造、販売を行う。2025年までに従業員は80人になる見込み。

合弁会社は、バーデン・ビュルテンベルク州シュツットガルトの南約35キロに位置するチュービンゲンに置く。一方、蓄電池セル工場は、チュービンゲンも含め、ポルシェの本社があるシュツットガルト・ツッフェンハウゼン、研究開発拠点があるバイザッハ(シュツットガルト西方約25キロ)に近い場所で検討する。蓄電池セル生産工場の規模は年産100メガワット時以上となる予定で、これは高性能蓄電池セルを搭載する乗用車約1,000台分に相当する。

今回のプロジェクトは、「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」として認められており(2021年2月4日記事参照)、連邦政府とバーデン・ビュルテンベルク州政府が約6,000万ユーロを助成する。本プロジェクトには、ドイツ化学大手BASFも正極材の開発パートナーとして協力する。BASFもIPCEIによる助成を受け、正極材工場を2022年にブランデンブルク州で稼働する予定(2020年8月26日記事参照)。

今回、ポルシェと合弁会社を設立したカスタムセルズは、2012年創業のリチウムイオン電池の開発・製造企業。プロトタイプから小・中規模生産までの特定用途の蓄電池セルの研究開発、ドイツ国内での生産を行う。同社は今回合弁会社が置かれたチュービンゲンにも拠点を有する。

ポルシェの2020年の新車販売台数は27万2,162台で、うちEVである「ポルシェ・タイカン」は2万15台販売された。VWグループは2021年3月、欧州で6つの蓄電池工場を2030年までに稼働させると発表している(2021年6月16日記事参照)。バーデン・ビュルテンベルク州のプレス発表によると、今回の高性能蓄電池セル工場は、この6工場に含まれないもようだ。

(注)同社の蓄電池セルは、シリコンを正極材に使用するため、エネルギー密度が高く(蓄電量が大きい)、短時間で充電できるものになる。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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