INSEE、2021年実質GDP成長率を6.0%と予測

(フランス)

パリ発

2021年07月07日

フランス国立統計経済研究所(INSEE)は7月1日、2021年の実質GDP成長率を前年比6.0%と予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表参照)。移動制限措置の段階的な緩和に伴い、第2四半期の実質GDP成長率は前期比0.7%と第1四半期のマイナス0.1%から持ち直すとともに、感染状況が安定すれば、第3四半期は3.4%と大幅な回復を示し、第4四半期も0.7%の成長が続くと見通した。

2021年通年の家計最終消費支出は、2020年の前年比7.2%減から5.2%増へと大幅に上向くと予測。移動制限措置の期間中に積み増した貯蓄が消費回復の動きを後押しする。家計貯蓄率は、2021年第2四半期の21.2%から第4四半期には15.6%まで減少し、2019年第4四半期の「新型コロナ危機」以前の15.1%に近付くとみられる。

2021年通年の企業設備投資は、2020年の前年比8.1%減から9.5%増とプラスの伸びに転じると見込む。第1四半期は前期比1.0%増、第2四半期は原材料の調達難が顕在化して0.3%増に鈍化するが、第3四半期は1.0%増、第4四半期も0.7%増と伸びが続くとみられる。INSEEは堅調な企業設備投資の理由として、在宅勤務の普及で情報通信関連の投資が増えたこと、連帯基金支援金など政府による一連の企業支援措置が企業収益の損失を一部補填(ほてん)したことなどを挙げた。

2021年のGDPへの寄与度をみると、在庫の動きを除いた内需の寄与度は6.1ポイントになり、このうち2.7ポイントを家計最終消費支出が占めると予測。一方、外需はマイナス0.2ポイントと、2021年もGDPの抑制要因になるとみられる。

家計最終消費支出と企業設備投資は、ともに2021年第3四半期に「新型コロナ危機」以前の2019年第4四半期の水準に回復し、2021年第4四半期には同水準を約1ポイント上回る見通し。内需の持ち直しを受けて、輸入も第4四半期に危機以前の水準を取り戻す見込み。GDPは2021年12月に、当初の予想より早く危機以前の水準に復帰するとしている。

また、2020年に29万6,000人縮小した就労者数は、2021年には通年で28万1,000人増加し、危機以前の水準をほぼ取り戻す見通し。失業率は、第2四半期に8.1%、第3四半期に8.0%、第4四半期に8.2%で安定する見込みだ。

消費者物価指数は、2021年初からのエネルギー価格の上昇を受け、上昇基調を示している。6月は前年同月比で1.5%上昇した。食料や素材価格の高騰により、8月は2%を超える可能性がある。2021年の年平均の上昇率は1.5%で、2020年の0.5%、2019年の1.1%を上回ると予測した。

(山崎あき)

(フランス)

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