EU域内での「デジタルCOVID証明書」本格運用を開始

(EU、EFTA)

欧州ロシアCIS課

2021年07月02日

欧州委員会は7月1日、新型コロナウイルスのワクチン接種などの証明書に関するEU共通の枠組みとなる「EUデジタルCOVID証明書」(COVID証明書)のEU全域での本格運用開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより、EU市民や居住者はCOVID証明書を活用することで、EU域内〔欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを含む〕の移動時の検査や自主隔離などが免除され、円滑な移動が可能となる。

欧州委は既に6月1日から、EU加盟国で発行されたCOVID証明書の相互認証システムとなる「EUゲートウェイ」の供用を開始し、準備が整った加盟国から順次、利用を開始していた(2021年6月2日記事参照)。7月2日時点では、全27加盟国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーでCOVID証明書の発行を開始しており、スイスなども今後参加する予定だ。

欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は同日、「EUデジタルCOVID証明書は、市民の健康を最優先に慎重に開いていく、安全で開かれた欧州の象徴」と述べ、本格運用の開始を歓迎した。また、EU全体で既に2億枚以上のCOVID証明書が発行されており、域内の自由で安全な移動を簡素化する共通のシステムを夏季休暇シーズン前までに導入するとした3月の約束をEUは果たしたと、その成果を強調した。

欧州委は3月17日にCOVID証明書の導入に向けた規則案を提案し(2021年3月18日記事参照)、5月20日にEU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で暫定合意し、6月14日に正式に承認され、7月1日から同規則が適用開始となった。

COVID証明書は、新型コロナ下のEU域内の移動円滑化を図る一時的な仕組みだ。COVID証明書を保持していなくても、EU市民は域内の自由移動が保障されているが、保持者に対しては各加盟国によって設けている入国時の検査や自主隔離などの制限措置が免除される。

なお、COVID証明書のEU域外国との利用に関しては、EU理事会は既に、ワクチン接種完了者の不要不急の入域を認める方針を決定しており、域外国で発行された同等の証明書の相互承認などについては、相手国と協議の上でCOVID証明書も活用する予定としている(2021年5月21日記事参照)。

また、欧州委は同日、加盟国で新型コロナウイルス検査を安価な検査が提供できるように、新型コロナウイルス対策支援のための「緊急支援手段(Emergency Support Instrument)」から1億ユーロを拠出することを発表した。

(土屋朋美)

(EU、EFTA)

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