米国の第1四半期の輸入額、国内消費の回復で過去最高を記録

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月05日

米国商務省が6月23日に発表した、2021年第1四半期(1~3月)の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前期比4.6%増の5,845億ドル、輸入は5.5%増の7,972億ドルだった(添付資料表1、図参照)。輸入増加が輸出増加を上回ったことから、貿易赤字は前期より160億ドル増加し2,128億ドルとなった。輸入額、赤字額ともに、データが確認できる1960年以降で最高の水準となった。財、サービスの内訳では、財が2,685億ドルの赤字、サービスは557億ドルの黒字だった。

財貿易をみると、輸出が前期比6.4%増の4,086億ドル、輸入が6.3%増の6,770億ドルだった(添付資料表2参照)。輸出では原油を含むエネルギー関連製品、金属・非金属製品、穀物類、輸入では原油を含むエネルギー関連製品、金属・非金属製品、家庭用品(携帯電話を含む)などが押し上げ要因となった。

エネルギー関連製品の伸びは、産油国の協調減産の継続などによる原油価格の上昇が影響した。第1四半期の平均原油価格(WTIスポット)は前期比36.1%増と大幅に上昇し、2019年第3四半期(7~9月)以降で最高値の1バレル57.79ドルとなった。

中国からの輸入は2桁増

財貿易を主要国・地域別にみると、輸出では、アジアNIESが前期比23.0%増の406億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった(添付資料表3参照)。原油、金(未加工)、半導体製造機器・同部品などが増加した。次いで、メキシコが11.8%増の656億ドルとなった。石油ガスおよびその他のガス状炭化水素、石油・歴青油(原油を除く)、銅鉱(精鉱を含む)などの伸びが影響した。

輸入では、中国が前期比11.5%増の1,332億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった。エアコンや、衣料品用を含むプラスチック製品、ゴム製の衣類・同付属品などが増加した。次いで、カナダが13.1%増の845億ドルと押し上げた。原油、石油ガスおよびその他のガス状炭化水素、石油・歴青油(原油を除く)などが増加した。

対中貿易は、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着いて中国国内の経済活動が回復したことなどを背景に、輸出額は2020年第2四半期(4~6月)以降3期連続で前期比2桁増となったが、2021年第1四半期は2.0%減とマイナスに転じた。一方で、米国内の需要の回復などで輸入が伸びたことから、対中貿易赤字は前年同期の630億ドルから960億ドルに増加した。

こうした状況についてロイターは、パンデミックからの急速な改善と、家庭や企業に対する大規模な政府支援によって需要が促進される一方で、製造業ではサプライチェーンの停滞などにより、需要の急増に対応する能力を欠いていると分析。今後の見通しでは、専門家は「内需が米国経済の生産能力を上回っているため、貿易赤字の拡大は2021年の経済の特徴となる可能性が高い」と指摘した(5月4日)。

なお、6月8日の商務省の発表によると、4月の輸出(財・サービス)は3月より23億ドル増加し2,050億ドル、輸入は38億ドル減少し2,739億ドルとなった。

(大原典子)

(米国)

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